はじめに
ある星の文明が暴走した。そして、消滅の危機を迎えた。
「大統領、星間飛行船の建造進捗状況ですが、後65日必要です。」
消滅の危機を知った世界は、他の星系への移住計画を図ったが、残念にも間に合わなかった。
「この星の皆さん。国際連盟元帥キースです。この星は明日消滅します。御機嫌よう。」
あっけらかんとした最後だった。
一方、その消滅の30日前に、ある科学者がパラレルワールドの存在を探し当てた。そして、そこへの移住の可能性を解明し計画することになる。奇しくも科学者たちはパラレルワールドに移住する装置を消滅の3日前に作り終えた。
しかし、ここは世の常、誰を移住させるか正論と私利私欲が渦巻く議論が交わされた。消滅に追い詰めた自分たちが移住すれば、再び同じの愚を踏む可能性があるとの結論に達した。そして、その要因が薄いと思われる昔の人たちを選定し未来に賭けた。文明が急速に発展する前、およそ3000年前の人たちを指定し、パラレルワールドの一つに放出した。その2日後、その世界は消滅した。
パラレルワールド管理局は、その兆候と実態を把握しており、星の最後の願いを聞き入れた。そして、送り出された人々を、相応しいところへ転移させた。
転移先は、「魔女の惑星」で、8代目魔女ジローの時代。
そもそも、この惑星は神崎元が作った世界である。
神崎元は、電気街のワゴンセールにあった、一つのソフト“新世界の種“を手に入れたことで、この惑星の創造主となった。その後パラレルワールド管理局から、一つの世界として認知され、多くの転移者を受け入れてきた。
そして、その神崎歴5603年に12000人もの大転移があった。
8代目の魔女ジローが統治する地へ。12000人の国造りが始まる。
俺は、山手線で日暮里駅に向かっていた。特に目的がはっきりしているわけではないが、おいしいカレーが食べられるレストランが開業したとの情報で、元来出不精な俺はこの電車に座っている。
ふと気が付くと、真向かいに男の子と女の子がこちらを見ている。そして、左の方には女の子が2人、同様にこちらを見ている。うん・、自意識過剰かな。こんな老人に用があるとも思えない。
そして、・次はにっぽり にっぽり・・と流れると同時に、辺りが白い光に覆われ始めた。そして、こちらを見ていた子供たちが、「アン いまだ! 」の声と同時に 一斉に俺の方に飛び込んできた。
周囲は真っ白。
俺は あ…呆然と佇んでいると。前方から子供が3人、手をつないでやってきた。
「導き手を探していたの。あなたは適任。でも不適任。」
「あなたに力を。あなたに加護を。そして闇を。」と言って通り過ぎて行った。
そして、白い世界から、緑と青い空の下に変わった。
それは、12000人の兵をまとめる指揮官として、俺は異世界に転移した。
俺すなわち指揮官シンは、新たな世界を導いて行くことになる。