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ほのぼのさんと元気っ子

 ブックマークありがとうございます!ですが、お一人居なくなられて…。めちゃくちゃ落ち込んでいました(笑)もっと多くの方に読んでいただけるよう精進致します!(*`・ω・)ゞ


 メルスティア視点に戻ります!

 さて、私は今からしたいことがある。何だと思う?チッチッチッ、チーン!…ブッブー!正解は前髪を切る、でしたー。

 そう。今私の前には鏡がある。勿論魔法で造り出した簡易的な物なんだけど。それに向かって自分を見てる。いや、鏡に向かってする事ってそれぐらいしかないけどね。


 何故前髪を切ろうとするのかって?うん。良い質問です。教えてあげましょう。ふふん。ちよっとね、気掛かりができたんだよ。私今日王様に謁見しなきゃいけないんだよね。任命式とやらで。その時に、来ると思わない?セルシュヴィーン王子。あ、殿下って言わなきゃいけないのかな。あの人にはクリスティーナの時に会ってるから、髪の毛の色変えただけじゃ分かっちゃうかなって。だから前髪を切ろうかと。


 今の私の前髪は一言で言って長い。いや、後ろ髪程じゃ無いんだけど。後ろは腰より拳二つ分位上の長さで、前髪は顔が隠れるくらい。前髪だけだとあれだね。例の片目の妖怪さんだ。カランコロン。なんちゃって。…ごめんなさい。スルーしてください。


 とにかく!前髪を短くしたら印象変わるよね。同一人物なんて思わないよね?ってこと。ただ…、どのくらいの長さがいいか迷ってるんだ~。


 指を前髪に当てる。目の少し上ぐらいがいいかな~…。流石にオン眉だと幼いよね。ダサいよね。…よし。決まり。

 長さを決めたらそれからは一瞬。風魔法でさっと切る。ハラリと髪の毛が落ちていく。それらが床に着く前に火魔法で燃やしつくす。

 はい、あっという間に新生メルスティア誕生!!え?大袈裟?気にしない気にしない。




★°٠*。☆٠°*。★°٠*。☆٠°*。




 先週振りに来た王城。相変わらず貫禄がある。城門には二人の騎士が立っていて、通行人をチェックしている。

 私は今日からこの中で暮らすことになる。中にある騎士寮で。だから荷物持ってきたんだよ?亜空間に全て放り込んで、だけど。よって今の私は手ぶら。もしかしたら怪しまれるかも…。


 案の定、城門を通ろうとすると騎士の一人から呼び止められた。さっきから見ていたけど、ここを通るには通行証なるものが必要みたい。皆何かしら首から下げていた。私は下げていないから呼び止められるのも無理ないか。


「通行証は?」


 なんか厳ついおっちゃ、おっと間違えたおじ様がなんか独特の雰囲気を携えて聞いてきたよ。

 え~っと、通行証ね、通行証。ああ!あれだ!


「えっと、これで良いですか?」


 先週渡された羊皮紙を差し出す。そこには私が聖騎士と認められたこと、従って城門の通行許可が記されている。

 それを見たおっ、じゃない、おじ様はぎょっと目を剥く。そして私を驚いたように凝視すると、また羊皮紙の方を見てまた私を見る。

 そんなに首振ってたら取れるよ…。それに何事かともう一人の騎士まで近付いてくる。ちよっと、お仕事ほっ放って良いの?

 その騎士も私と羊皮紙を凝視する。でもこちらは何かが違う。この若い騎士は何と言うか…、おじ様の方はただ単に驚いていた感じだけどこっちは驚いてはいる。いるんだけどその奥に憎悪がある。さしずめ何故こんな奴が聖騎士なんだ、自分はなれないのに、馬鹿にしてるのか、みたいな感じだろうな。プライド高めっぽそう。


「あ~、早く通していただけますか?この後国王様への謁見があるので遅れるわけには…。」


 なんだか居たたまれなくなってきた。任命式までにはまだ時間があるけど、もうここには居たくない。誤魔化すようにして言葉を選ぶ。なるべくこの若い方の騎士を逆撫でしないような言葉を選んだつもりなんだけど…、あからさまに睨まれた。

 下手に出たのが悪かったのか。威張り腐ったほうが良かったのか。でも威張ったら威張ったでもっと凄い目線が突き刺さるんだろうな。正直こんなことがあるんじゃないかって覚悟はしてた。いくら実力主義だと言っても自分より若い、しかもひ弱そうな(見た目はね)女が自分よりも強いんだと、優れているんだと認めるのは人間として我慢ならないんだと思う。よく見てみたら分かったんだけど、この騎士さんは貴族の令息なんだろうな。家紋のついたカフスを付けている。プライドが高いのも無理はないかも。


「あ、ああ!そうだ…いえ、そうですね!遅れてはなりませんよね!どうぞ!」


 おじ様の方がすぐに通してくれた。本当にそこに居るのはもう嫌だったから一礼してそそくさとその場を後にする。城門から見えなくなるところに着くまで鋭い視線が私の背中に突き刺さっていた。




★°٠*。☆٠°*。★°٠*。☆٠°*。




「君がメルスティア・カルファさん…だね?」


 驚いてビクッと肩を震わせる。まさか近くに誰かがいるとは思わなかった。気づいていなきゃいけなかったのは分かってるけど気付かなかった…。


「は、はい。そうですが…。貴方は?」


 ゆっくりと振り返る。


「僕はラスター。こう見えても36歳だよぉ。」


 そこに居たのはふにゃ~と緩んだ頬に線で描いたかのような細い目をした男の人。ふわふわした雰囲気をさらにふわっふわにするようなパステルグリーンの猫っ毛を左肩で緩く結んでいる。

 

────メ、メルヘンチック~!!てか、見た目若っ!


 自分で宣言するくらい常日頃から若く見られているんだろう。話し方変えたら少しは年相応に見られるんじゃ…。

 凄くふわふわほのぼののほほ~んとした雰囲気を纏っているけど実力は半端じゃないと思う。いくら気を抜いていたとはいえ、私が気が付くことが出来なかったんだから。


「あのねぇ、僕が案内するように言われたんだぁ。あ!僕はこれでも聖騎士だからねぇ。これからよろしくねぇ!」


────お、おう。


 ペースが完全に引きずられていく…。…ん?今聖騎士って言わなかった?気のせい?…いや、本当だよね。しっかりとこの耳で聞いたもん。こんな見た目だけど聖騎士か。やっぱり人は見た目で判断しちゃ駄目だね。

 こっちだよぉ、と連れていってくれる。ラスターさんが歩く度にパステルグリーンがポンポンと跳ねる。ラスターさんの周りだけお花畑みたいだ。


「ところでねぇ、メルスティア・カルファさんは何でさっき何も言わなかったのぉ?」


 突然私の方をくるりと振り替えってそんなことを言ってきた。きっと『さっき』とは城門でのことだろう。


「メルスティアで構いません。さん付けはいりませんから。さっき、ということは見ていたんですか?」


 すぐには答えない。私の答え次第で何か勘繰られては困るし。さて、どう返してくるかな?


「うん。見てたよぉ。あの騎士メルスティアちゃんのこと睨んでたよねぇ。あからさまだったよねぇ。なのに君は何も言わなかったししなかった。何でぇ?」


 ちゃ、ちゃん付けなんだね。やっぱり質問は逃れられないか。まあ、答えても私に部が悪いことは何もないから答えるかな。


「言っても良かったのですけどね。相手は騎士でしたから。でも、貴族とのいざこざは極力避けたいので。」


「あ~、やっぱり気付いてたんだぁ。彼はねぇ、伯爵のところの息子だからぁ、ちょっと自分が大好きなんだよぉ。あんなに分かりやすく態度に出す人は少ないと思うけどぉ、ああいった感情を持つ人は少なからずいるからぁ、気を付けてねぇ。」


 すっごいほのぼのとした感じで言われたけど大切なこと言ってくれたんだよね?でもやっぱそうだよな~。どこの世界も妬み僻みってあるよね。


「はい。教えてくれてありがとうございます。」


 そんな話しているうちに騎士寮に着いた。木造の建物なんだけど魔力を感じるから、きっと強化魔法でもかけられているんだろう。中はシンプルで使い勝手が良さそう。

 一階が食堂になっていて公爵家で使っていた物の二倍くらいの長さのテーブルが五つ置かれており、スツールがずらりと並んでいる。今は朝食を食べ終えて各々の食器を流しの所まで運んで行っている人が多い。ここってやっぱり食堂のおばちゃんとかいるのかな。

 二階から上は男子寮女子寮に別れていてラスターさんは女子寮に入れない。と、いうことで案内役バトンタッチ。


「はじめまして!私アミュエリスって言います!ここからは私が案内しますね!」


 元気いっぱいのアミュエリスはその性格を表したような明るいピンクの髪をポニーテールにしている。


「え~っと、ここがメルスティアさんのお部屋です!メルスティアさんは聖騎士ですから一人部屋なんですよ!私はただの騎士なので相部屋なんですけどね。」


 アミュエリスは騎士なのか。どんな戦い方をするんだろう。いつか見てみたいな。


「あの、聖騎士と騎士で部屋割りが違うんですか?」


「そうなんですよ。騎士は何番隊に所属しているかで相部屋の人数が決まるんですけど、聖騎士は一人部屋なんですよ!…あ!そうだ!伝言があるんだった!この中に、既に聖騎士の正装が準備されているらしいので、それを着て来てくるように、だそうです!じゃあ、私はそろそろ行かなきゃ行けないので失礼しますね!」


「えっ、あっ、ありがとうございましたー!」


 アミュエリスは一気に喋り終えて行ってしまった。なんか凄い子だったな。私と同じ年ぐらいだったから仲良くなれそうな気がするんだよね。今度会ったら話しかけてみよっと。

 取り敢えず、着替えてラスターさんの所に戻るか。

 やっぱり人は他人が自分より優れていると醜い感情を持ってしまいますよね。自分はそうなりたくないとこれを書いていてつくづく思いました。


 次話は王様とご対面です!

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