現代チート炸裂(?)
遅くなりましたっ!誤字脱字がありましたらご指摘いただけると幸いです。
今さらですが題名の『«夢幻の舞姫»』は『«むげんのまいひめ»』と読みます。今のところ本文中に出ている『夢幻』も全て『むげん』と読んでください。
ブックマークありがとうございます!!
今日は聖騎士になるまでの一週間の一日目。さて。現代チートやります宣言したものの、何しよう。いや、ジルバのパン屋へのは決まってるよ?パン酵母ね。ギーラさんが焼くパンはふわふわなんだけど、それは暖かい時だけなんだよね。冷めるとフランスパンより硬いもん。だからパン酵母。あとお砂糖入れたりして食パンだけ食べてもでも甘くなるの教えるのもいいよね。
ここまではいいんだよ。ここまでは順調なの。でもさ、カーリィ夫妻へのだよ!どうしよう。何がいいかな。ううう…。悩むなぁ~。ま、いっか。パン酵母ちゃん育てながら考えよう!あ!その前にギーラさんに聖騎士になること言わなくちゃ!
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「おはよ~ございま~す!」
朝の挨拶元気よく!なんちゃって。でも挨拶は大切だからね。
大きな声で挨拶しながらパン屋の裏口の扉を開ける。やっぱりギーラさんはもう来ていたようで私は二番目。インディはまだ来ていないみたい。いまのうちに話しておいた方が良いよね。
「ギーラさん、おはようございます。」
「あらおはよう、メルちゃん。」
ギーラさんは私のことをメルちゃんと呼ぶ。私は立っていても瞼は閉じますって思ったけど、これ分かる人ここにはいないんだよね~。誰か分かる人いてほしかったな。
「あの、ギーラさん。手が空いたら少し時間もらえますか?」
「かしこまってどうしたの?今なら空いているからいいわよ。」
手に付いている粉をエプロンの裾で叩きながらこちらを向いてくれる。にっこりと笑っているギーラさんにこれから聖騎士になることを言うのは何か申し訳ない気がしてくるけど、言わなきゃいけないんだよね。
意を決して口を開く。
「私、昨日の入団試験で聖騎士になることが決まりました。来週、登城予定です。」
言った…!一息で何とか言うことができた。
「…つまり、この店を辞めることになるのね。ええ。分かったわ。」
…ん?肝心なことを言ってなかった!フォローありがとうございます、ギーラさん。
「はい。そうなります。ごめんなさい…。」
「いえ、いいのよ。それよりおめでとう。聖騎士になるなんて凄いことよねぇ。」
「あ、ありがとうございます。」
そうして私はその場でジルバのパン屋を辞めることになった。ギーラさんが準備があるでしょうって気を効かせてくれたのだ。重ね重ねありがとうございます。
家に帰りながら考える。どうしよう、本当に。カーリィ夫妻のところは不動産屋さんだもんなぁ。仕事で生かせそうなの思い付かないんだよね。普段の生活ねぇ…。…あ!良いものがあったよ!お掃除ロボットル○バ!これは良いよね。便利。最近掃除の度に腰が痛いって言ってたから絶対喜ばれるね!よし。決まり!早速準備しよう!
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家に入って中を見渡す。取り敢えずこの一週間で使わない物はまとめていいよね。テーブルと椅子一脚、ベッドを残して後は亜空間に全て仕舞う。一瞬にしてく部屋が広くなった。
で、今から私がする事。
現代チート炸裂☆イエ~イ!!
というわけでまずはパン酵母ちゃんを作りたいと思いま~す!用意するものは瓶、浄水、砂糖、そして今回はレーズン。レーズンって発酵しやすいんだよね。
瓶と砂糖、レーズンを亜空間から取り出す。浄水はどうするのかって?魔法で生み出せば大丈夫。
まずは瓶を消毒。はい、次。材料を適量瓶に入れる。その上から浄水も適量。はい、次。瓶の口を密封。はい、次…って今日はここまでしか出来ないや。後は放置!
それではお掃除ロボットル○バを作りま~す!待って、名前変えた方がいいよね。う~ん…。面倒だからお掃除マンでいいや。
え~、仕組みね。知らない。うん。知ってるわけないよ?でもゴミを集められれば何とかなるだろうから魔法陣組み込めばいいんじゃない?ゴミ集めるから風魔法かな。あ、通った後ピカピカだといいよね。水魔法の浄化も入れて。あ、ついでに空気洗浄もできたらいいな。う~ん、他には~…。あ!あれも良いかも!
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すっかり辺りが暗くなっている。どうやらお掃除マン作るのに夢中になりすぎていたみたい。お腹が空腹を訴えて鳴りやまない。
お掃除マンに組み込む魔法陣はひとしきり書き終えた。明日これをお掃除マンの本体に組み込めば良い。
魔法陣を書いた紙をひとつにまとめテーブルの端に寄せる。そしてスペースの空いた自分の前に亜空間から夕食を出す。以前から作っては保存を繰り返しているから、ある程度の日数は何も準備しなくても、三食きちんと食べられる分だけの食事が亜空間の中にある。
さっさと食事を終えて水魔法で皿を綺麗にしたら魔法で体の汚れを除去する。これはお風呂のわり。今日のやることは全部終わっちゃった。暇だ。する事が無くて凄く暇。よし。寝よう。
そうと決めたら真っ直ぐベッドへゴー!ベッドに飛び込みをきめて、そのままおやすみなさい。グー…。
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二日目。パン酵母ちゃん徐々に育ってる小さな泡がポコポコと浮かんでいる。食後に軽~く瓶を振って時折蓋を外して外気に触れさせる。勿論後は放置。
お掃除マンの本体は土魔法で生成。色は黒に銀のラインを入れて見た。何か格好良くない?内部に昨日作った魔法陣を組み込んで…と。完成!…じゃなかった。これじゃ魔力を直接注ぎ続けなきゃ動かないよ。魔石使えるようにしないと。
亜空間に魔石があるか確認してみると、なんとまあ。あるのはあったんだけど大きいのしかない。小魔石無いよ。これは困った。買いに行くかな。
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三日目。パン酵母ちゃん昨日より濃くなってる。いくつかレーズンもプカプカ浮いてるね。昨日と同じことして後は放置。よし、魔石買いに行こう。
魔石は専門店で売っている。ゴルフボール一個ぐらいの大きさの魔石一個で大体銅貨五枚くらいが相場。まあこれは品質も関係してくるからあんまり参考にならないんだけど。小魔石はビー玉ぐらいの大きさ。品質がそんなに高くなければ十個まとめて銅貨三枚。今回はお礼の品に使うからちょっと品質の良い小魔石をひとつ銅貨三枚で買った。
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四日目。パン酵母ちゃんほぼ出来上がってきた。レーズンが完全に浮き上がっている。昨日と同じことして…、とここで気が付く。後は泡の勢いが速くなるのを待って冷やして一日置くだけだよね。なら、時間速めたらいいよね。
時を速めるのはちょっと複雑な混合魔法を使う。でもね、私はなんてったってチートだから、いとも簡単にできちゃうんだよなこれが。
というわけで魔法で五日目をすっ飛ばしてこれまた魔法で瓶を冷却したら四日目にして六日目の状態に。後は例のごとく放置…はせずにまた時間を速めて完成に無理やり持っていく。そして亜空間に放り込む。パン酵母はこれで完成だ。
お掃除マンには魔石を取り付ける。円のど真ん中に小魔石が鎮座する。何か格好良かったはずのお掃除マンが格好良くなくなったような…。んん、気のせい気のせい。まあひとまずお掃除マンは完成!
あとは明日ギーラさんにパン酵母を渡してカーリィ夫妻にお掃除マンを渡したら終わり!頑張った、私!
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五日目。お掃除マンの試運転を済ませてまずはカーリィ夫妻のところへ。
「こんにちは~。」
カランカラン、と開いた扉に付けられた木製のベルが乾いた音を立てる。
「あらいらっしゃい、メルスティアちゃん。どうしたのさ。」
アルマさんが出迎えてくれる。ハーヴェンさんは奥で昼寝中らしい。
「実は…。」
あれこれと聖騎士になることやジルバのパン屋を辞めること、家も騎士団に所属するとなったら騎士寮に住むようになることを伝える。
「それは本当かい?!聖騎士なんてそう易々となれるもんじゃないだろう?!す、凄いことをしたね…。」
予想以上に驚かれてしまった。やっぱり聖騎士になるのは尋常じゃ無いらしい。最初から聖騎士として騎士団に入ったのは片手で数えるだけって言ってたしね。
取り敢えずお掃除マンを渡さないと。
「それで、こっちに来てから凄くお世話になったのでお礼をと。これなんどすけど…。」
いそいそと亜空間からお掃除マンを取り出す。何も無い空間から突如私の手元に現れたそれを見て、一瞬ぎょっとしたけどすぐに元に戻ったアルマさんは凄い。
「お掃除マンって言います。私が作った魔法具です。」
使い方を説明するととても感謝された。掃除の度に腰が痛くなるのに相当悩まされていたみたい。喜んでもらえて良かった。
その後ギーラさんにパン酵母を渡して使い方と作り方、その効果などを説明した。インディも熱心に聞いてくれた。インディは努力家だから、きっとパン酵母を上手く利用してもっと美味しいパンを沢山作り出してくれそうな気がする。ギーラさんには言わなかったけど他のパン酵母の作り方や相性の良いパンをインディには伝えた。これを上手く生かすって約束してくれた。
残り二日はあっという間に過ぎていった。今日は待ちに待った聖騎士としての初登城の日だ──!
現代チート全然思い浮かびませんでした。特にアルマさんに渡すもの…。当分は現代チート書くのはいいかなって思いました。
インディ、メルスティアにとっても期待されています。良かったですね(^o^)
ここからは何話か閑話を挟んで次の章に入る予定です。
次話はインディ回です。メルスティアへの恋心はどうなるのか…?!