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可笑しな呼び名がついていることに気付きました


 入学してしばらく、自分に可笑しな呼び名がついていることに気が付きました。

 生徒会長、月宮要の寵姫。月宮要の前以外では表情の変わらぬ人形姫。

 だそうです。いやいやいや!従兄様の前以外で表情が変わらないってボッチなのに一人で表情がくるくる変わってたら逆に怖くない??私に話しかけてくるのなんて従兄様くらいだし!

 というか人形姫!!どこかで聞いたことあるんですが!そうです!前世でプレイしたゲームの中での私の呼び名です!

 ぎゃーーー!!順調にゲームの世界に巻き込まれてるーーー!?


 そんな私の前には麗しい先輩がお二人。

 金髪に青玉の瞳が美しい妖狐の雪村ゆきむら千歳ちとせ先輩。

 鴉の濡れ羽のような漆黒の髪にオニキスの瞳を持つ鴉天狗の華影はなかげきょう先輩。

 どうしてそんなお二人に私はじっと見降ろされているのでしょうか。


「動じないか」

「なるほどね」


 やっぱりお二方ともいいお声ですね!!特に華影先輩!前世から大好きでした!


「気に入った」


 そう笑ったのはどちらだったか。

 目の前には凶悪な笑みを浮かべる妖狐と鴉天狗。

 ぞくりと悪寒が背を駆け抜ける。

 これはフラグというやつだろうか。


「千歳、匡、俺の璃桜に何をしている」

「要」

「寵姫様にご挨拶を、と思ってね」


 飄々としたお二人の態度に従兄様は顔をしかめながら私に近づいてくる。


「璃桜、何もされていないか?」

「はい。少しお話していただけですわ」


 それと私は従兄様のものではありません。

 なんて言えるわけもなく、対従兄様用の笑顔を浮かべておく。


「ならいい。だが、もうこいつらに近づくな。孕まされる」

「おい、要。俺まで一括りにするな」


 ひどく不快そうな鴉天狗の抗議と避妊はちゃんとしている、心外だと騒ぐ妖狐を従兄様は鼻であしらう。

 というかそういう問題ではないだろう。妖狐よ。

 元からお近づきになりたくなかったが、もっとなりたくなくなった。


「あの、要兄様。そろそろ授業なので失礼いたしますわ」

「あぁ。何か困ったことがあれば遠慮なく頼れ」

「はい。ありがとうございます」


 ニッコリ。笑顔をサビースしてそそくさとその場を離れる。

 あぁ、癒しが足りない。今夜もあのわんこは来てくれるだろうか。

 その後もクラスメイトの猫又に絡まれたり、真っ赤な顔したヒロインに友だちになってくださいと告白されたりして私のライフはゴリゴリ削られていった。

 今日も今日とてこれ以上、攻略キャラやヒロイン様に関わりたくない私は引きこもって自炊し、癒しを求めて中庭に出る。

 わんこはもう来ていた。


「わんこ!!待っててくれたんだね。いいこね!」


 モフモフと白銀の毛並みを堪能する。


「私、わんこに会えることだけが楽しみなのよー」


 あれ?もしかして私寂しい人??

 でもいいの!わんこがいるから!!

 ぎゅううっとわんこの首に抱き着く。

 わんこは私を慰めるようにすりすりと顔をよせてくれた。

 あぁもう!わんこ最高!!モフモフ最高!!

 こんないい子にはこうしちゃうんだから!

 モフモフモフ

 わんこが気持ちよさそうに目を眇めるところを重点的に撫でまわしました。

 結果。


「きゃー!おなか見せてくれちゃうの?本当にいい子ねー」


 モフモフし放題です。

 何この天国!わんこはやっぱり私の癒し!

 飼い主さんがしっかりお世話してるのね、獣臭くないというかむしろいい匂いがするし。


「だーいすき!」


 自分でも想像できないくらいの甘い声での告白。

 わんこは嬉しそうに尻尾を振ってくれた。

 これって相思相愛だよね!

 嬉しくなった私は今夜もわんこが帰るまで存分にモフリ倒しました。



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