第6話 side奏多
遂に美羽と付き合うことができた俺(まだ仮だけど…)。
今までの溜めにためていた美羽への愛情があふれ始めた。
だって、俺かなり我慢してたよ。
小学校からだよ。
でも、まだ美羽に俺の有り余る愛を知られるわけにはいかん。
やっと、フリだけど付き合うことになったのに、嫌われることはしたくない。
クラスの奴らは俺と美羽が付き合うことになったことを、真実だと思っている。
いや、俺だって本物にしたい!いや、絶対にする!
なんの為にここまで回りくどいことをしたと思っているんだ!
全ては美羽を手に入れるためだ。
なので、まず女子に慣れる為と言って登下校を一緒にした。
もちろん家まで迎えに行く。途中で何かあったらどうするんだ。
美羽は、家までなんていいよーと断ってきたが、そこは俺の無駄に鍛えられた演技力によって、苦手克服を免罪符に登下校権を勝ち取った。
いやー、付き合ってる感じがするな〜。
朝から美羽パワーを充電できるなんて、俺はなんて幸せなんだ!
美羽がちょっと困った顔をしていたが、笑顔で乗り切った。
ちょっとだけだぞ。美羽は嫌がってはいないはずだ、うん。
高校二年、三年はまさかのクラスが別になるという悲劇にみまわれた。
なんでだよーーー!
俺の美羽がーーーー!
俺は休み時間の度に美羽に会いに行った。
だけど美羽が授業の合間の10分休憩にはわざわざ来なくていいと言うので、涙を飲み込んでそこは諦めた。
しかし、昼休みだけは絶対死守した。
たとえ、教師から用事を言いつけられても5分でもあれば美羽に会いに行った。
俺のこの行動は学年中に広まり同級生からはいつも生温かい目で見られていた。
ふん!何とでも言えばいい、俺は美羽を手に入れる為ならなんだってするんだから。
しかし、俺のこの行動を知らない他の学年の女子が美羽に文句を言ったらしい。
な〜にが「奏多君にまとわりつかないで」だ!
どう見たって俺が美羽にひっついてるだろ。
こんなアホな奴らのせいで美羽が俺から離れたらどうするんだよ!
幸い美羽は俺がまた、苦手な女子に捕まって可哀想としか思わなかったみたいだ。
美羽はやっぱり優しいな!
とりあえず俺の美羽に文句を言って、危害まで加えようとした奴らはオシオキしておいた。
え、何をしたかだって?
まあ、あれだ。…ちょっとやり過ぎたかな。
同じ学年の奴らは青くなってたし。
しかし、俺は後悔してない!
美羽を傷つける奴は絶対に許さない。
そんなこともあり、俺の美羽に対して嫌がらせする奴はいなくなった。
美羽が言うには、逆に俺と付き合っていることを尊敬する人が続出していると言っていた。
ああーん、誰だ変なこと言ってるのは。
俺がいろいろやってる間に親が美羽に会いたいと言ってきた。
なんだ、俺と美羽の交際に文句あるのか?!と思ったが、そうではないらしい。
なんか俺と付き合ってくれている健気な子に一度お礼をしたいとか。
悪いイメージを持っているわけではなさそうだが、お礼ってどういうことだよ。
やっぱり一度俺についてどう思っているか話し合いが必要だな。
新庄含めて。
美羽に親が会いたがっているというと、それはちょっと…と断られた。
付き合っているフリなのに、申し訳ないと。
いやいや、未来の義娘だから!俺の嫁だから!
俺は鍛えられた演技力をまた使うことにした。
「美羽…。親は俺が女子への苦手意識を持っているのを気にして心配してるんだ…。だから、美羽に会ってもらって安心してもらいたいんだよ。」
「そっかー。うんわかったよ。安心してほしいもんね。でも、奏多って優しいね。お父さんやお母さんに心配させたくないんだね。」
うっ!優しいのは美羽だよ。こんな俺の嘘に付き合ってくれるなんて…。
ごめんね、でももう離してあげられないよ。
それから、美羽を俺の家に連れてきた。
その時、真っ当に新庄にも紹介した。うん…美羽、確かに新庄は顔は良いけどあんまり見ないでね。
俺、嫉妬深いから。でも、新庄には余りケンカを売りたくない。あいつは、コワイ。
本題の親にも会わせた。
おい、何故始めに謝罪っぽくなるんだ!?
えっ、息子と付き合ってくれて本当に感謝している。って。なんで、そんなに申し訳ない感じになってるんだよ。
美羽が微妙な顔してるだろ!
俺の必死のアイコンタクトが通じたのか、その後はなんとか普通に会話が成立した。
親からはあんないい子を泣かすことはするなよ、と言われた。
んなこと、言われなくても分かってる。
俺が絶対幸せにするんだから。




