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第3話

奏多にさよならをしてから3日経った。

その間に奏多から電話やメールがかなり来ていたが、返事はしなかった。

声を聞いたら決意が鈍るし、はっきり言って泣く。


「美羽ちゃん!」


「あれ楓ちゃん、久しぶりだね。」


木内 楓ちゃん 高校が一緒だった子で、奏多のことも知っている。

ちなみに奏多は大学は某有名大学に進学した。なので、私と奏多のことを知っている人は高校が一緒だった数人しか知らない。


楓ちゃんとも学部が違う為、久しぶりに会った。


「美羽ちゃん、久しぶりだね、じゃないよー。」


ん、何やら楓ちゃんが焦り気味なような?


「どうしたの、何かあった?」


「どうしたのはこっちのセリフだよー。あのね、校門の近くに新庄さんがいるの。」


えっ、新庄さんって、あの新庄さんだよね。


新庄さんというのは、簡単に言うと奏多の専属の運転手さん。

ただ、武道の方もかなりの腕前みたいで護衛なんかも兼ねてるみたい。

ちなみにかなりのイケメンである。


そんな人が校門にいたら目立ちますね。

うん、そんなところは通りたくナイデスヨ。


新庄さんは高校の時、家の事情で急いで奏多が帰るとき迎えに来ていて、ある意味レアキャラとして女子の人気を得ていた。


うん、やっぱり裏門に周ろう。


「美羽ちゃん、何してるの?新庄さんが美羽ちゃんに会いたいって言ってたよ。」


えーーー、なんで楓ちゃん新庄さんと話しちゃってるの。

え、え、もしかしてピンポイント攻撃ですか。

いやだよー、目立ってるし、絶対奏多のことだし。


「あっ、大丈夫だよ。新庄さん美羽ちゃんが来るまで待ってるって」


に、逃げられない・・・。楓ちゃんに悪気は全くないし、奏多とのことも知らないから。

よし、チョットお話してとっとと帰ろう。


「う、うんありがとう。じゃ、じゃあ行ってくるね。」


「うん、いってらっしゃい。」


楓ちゃんはニコニコ送り出してくれた。

よし、がんばろう。



校門にたどり着くと、すぐに新庄さんの場所は分かりました。

あー、女子が遠巻きに見てる先にイケメン新庄さんがいらっしゃいます。


新庄さんがこちらを見てニッコリ微笑みました。

あっ、それの直撃を受けたお姉さまたちがポーッとしちゃってるー。

さすがっす、イケメン効果。


なんて考えているうちに新庄さんがこちらに近づいて来ました。


「美羽さまお久しぶりです。」


「お久しぶりです、ただ何回も言いますが私にさま付けはやめて下さい。」


ニッコリ微笑んだまま新庄さんは私の言葉はなかったことにしたようです。


「美羽さま、申し訳ないですが少々お時間宜しいですか?」


うん、疑問形だけど有無を言わさぬ感じは流石だね。


ようし、ここは最近の定番の近くの公園行きだね。

なんか、大事な話は全てここのような。

まあ、いいか。今更だしね。


「分かりました。では、この近くの公園でお話しましょう。」


「ありがとうございます。では行きましょう。」


私達が歩き出すと、お姉さまたちが残念そうにこちらをみてます。

代われるものなら代わりたいですよ、私は。


少し歩いて公園までやって来ました。

大きめの公園なので、あまり目立たないところでお話もできます。


「それで、新庄さん。今日はどのようなご用件ですか?」


「…もちろん、奏多さまのことです。」


ですよねー。わかってましたよ〜。


「美羽さま、奏多さまを元気付けてくれませんか?」


えっ、もしかして奏多と別れたこと知らないのかしら。

さすがに知ってたらそんなこと言わないよね。


「奏多さまは私の前では普通に振舞ってるつもりですが、私も奏多さまに仕えて長いのです。主の調子が悪いことぐらい直ぐに分かります。その原因が美羽さま絡みのことも。」


なかなか鋭いですね。確かに私も関係はしてると思うけど。

でも、この場合元気付ける立場の人は私ではなく婚約者さまだと思われます。

なので、ここは誤解を解く必要がありますね。

うー、また泣きそうですよ。


「新庄さん、奏多を元気付けるのは私ではないですよ。」


「え…。」


「奏多を元気付けるのは奏多の婚約者の方だと思います。」


「え?」


新庄さんさっきから「え」しか言ってないよ。

なんなのよ。私は間違ったこと言ってないわよ。


「あの、美羽さま?婚約者というのは美羽さまですよね。」


うん?何寝言言ってんの。新庄さんがおかしくなったよ。

仕事のし過ぎで記憶がこんがらなちゃったのね。


「私ではないですよ。新庄さんの方がご存知なんじゃないですか。」


イラッときて嫌味っぽくなっちゃたかな。

でも、しょうがないじゃない。わざわざ来ておかしいこと言うんだもん。


「…美羽さま申し訳ありませんが、私は美羽さま以外存じ上げません。どなたのことを言っているのか教えて頂けませんか?」


むむ。まだしらを切る気ですか。

いいですよ、そっちがその気なら教えてあげますよ。


「西尾 優菜さん…ですよね。奏多の婚約者さん。」


その言葉を聞いた時新庄さんの顔が変わった。

具体的言うと、いや端的に言いますと…怖かったです。

マジ、泣くかと思いました。


「美羽さま…大体の事情は分かりました。」


おっ、さすが新庄さん。すぐ察してくれましたか。

でも、できれば、ここに来る前に気付いて欲しかったですよ。

元気付けられるのは婚約者さんだって。


「美羽さま、私は用事が出来てしまったのでこれで失礼いたします。」


「ええ、私も用事があるので帰りますね。」


まあ、奏多と別れたからホントは何もないけど。


「…美羽さま。また近くお目にかかります。では。」


「えっ、ちょ、ちょっと新庄さん!」


私の呼びかけは綺麗に無視され、新庄さんは風のように去っていきました。

いや、ほんとにあの人何者…。

見えなくなるの早過ぎでしょ。


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