その後 その7 ヤキモチ
今日は久しぶりの奏多とのデート。
最近忙しいのか約3週間ぶりのデートだ。
と言っても私の学校帰りに待ち合わせをしてご飯を食べるだけなんだけど……。
でも、ちょっとでも会えるのは嬉しい。
私がご機嫌で歩いていると正面から何かが猛スピードでやって来た。
あれは………え、楓ちゃん?
「う、うわー〜ーん!み、美羽ちゃーーん!」
な、何で泣き叫んでいるの?
「ど、どうしたの?楓ちゃん。」
「あ、あ、あのね。う、う、浮気されたーーーーー!」
それは、それだけはないよ。
私は内容を聞いて冷静になった。
だって何があったってそれだけはないもん。
私は楓ちゃんに言い聞かせるように話しかけた。
「あのね、楓ちゃん。よく聞いてね。新庄さんに限ってそれだけはないから。たとえ万が一楓ちゃんが浮気することがあっても新庄さんだけは絶対、何があっても確率ゼロだからね。」
楓ちゃんは私の言葉を聞いて、意外と冷静に「私だって浮気なんてしないよ……。」と呟いている。
まあたとえだから、ね。
「それで何で浮気されたなんて思ったの?」
「………してたの。」
「うん?何?聞こえないよ。」
「キスしてたの!」
「え!」
「だ、か、ら、新庄さん女の人とキスしてたの!」
う、ウソだ。
だってあの新庄さんだよ?
楓ちゃんのことが好きで好きで、囲い込む準備を着々としているあの新庄さんが他の人とキス?!
びっくりし過ぎて言葉が出てこない。
そんな中楓ちゃんがポツポツと話し出した。
「昨日、新庄さんと約束してたんだけど急に仕事が入って会えなくなったってメールがきたの。仕事が忙しそうだったから大変だなぁと思って、せっかく新庄の勤め先の近くにいたからちょっとだけ見るだけと思って会社の前まで行ってみたの。そしたら……ちょうど新庄さんと女の人が出て来て……それで、そこでキスしてた。」
ええ〜〜!
むしろ楓ちゃんがそこまで新庄さんのこと想っていたことにびっくりなんだけど……。
あんなに嫌がっていたのにね〜。
これが新庄さんの手腕か。
でも、あの楓ちゃん命の新庄さんが他の人とキスなんておかしすぎる。
「ねえ、楓ちゃん。その、キスをしてその後2人はどうしたの?」
「キスしているところを見たところで私走り出しちゃったから……わかんないよ。」
そっかぁ〜。
ショックだったんだね。
もう、新庄さんったらどうしてくれようかしら。
大事な親友をこんなに悲しませて。
私は奏多に連絡することにした。
「ちょっと待っててね、楓ちゃん。今奏多に聞いてみるから。」
私はそう言うと奏多に電話をかけた。
緊急事態だもん。
普段はあんまりしないけどかけた電話はまさかのワンコールで出た。
『美羽!良かった〜〜。』
奏多の第一声がおかしい。
良かったって何?
「あの、奏多……ちょっと聞きたいことが」
『美羽!木内見なかったか?もし見かけたら速攻で携帯の電源入れろって伝えて!マジで見つけてくれ!』
うん?
楓ちゃんの携帯の電源?
楓ちゃん切ってたんだ。
「奏多、楓ちゃんならここにいるよ。」
『本当に!?木内そこにいるのか?って新庄携帯を奪おうとするな!今俺が美羽と話してんだぞ!』
電話口で争う声がする。
どうやら新庄さんも近くにいるようだ。
『美羽様!楓さんはそこにいるんですね?』
おっ、新庄さんに代わったようだ。
「うん、いますよ。あ、だけど……うん、何か今話したくないって言ってますよ。」
楓ちゃんが必死で首を横に振っている。
まあ、気持ちはわからなくはない。
『とにかく携帯の電源だけは入れるように説得して下さい!美羽様よろしくお願いします。』
『………ったく勝手に人の携帯とるなよ。あっ、美羽ごめんな。でも木内には携帯の電源入れるように言ってくれる?もう、今日こいつ役に立たないんだ。うわ!睨むなって。うん、じゃあよろしく。』
そう言うと電話は切れた。
何だったんだろうね。
「楓ちゃん、とりあえず携帯の電源だけは入れてもらっていいかな?」
私の言葉に渋々楓ちゃんは電源を入れた。
そして画面を確認した楓ちゃんがフルフル震えている。
横からちょっと覗かせてもらった。
…………こわっ。
新庄さんからと思われるメールが50通ぐらい届いている。
たぶん、いやきっと着信もヤバいと思う。
楓ちゃんが私のことを涙目で見ている。
うん、気持ちはすごーーーくわかるよ。
でも、これは楓ちゃんしか立ち向かえない問題だよ。
「美羽ちゃん!ど、どうしよう?でも、あれは絶対キスだったんだよ!」
「楓ちゃん、やっぱり新庄さんと話し合わないとダメだよ。」
「で、でも………きっと負けちゃう。」
「楓ちゃんはこのまま新庄さんと離れていいの?前とは違って新庄さんのこと好きになっちゃたんでしょう?なら聞かないと。」
私の言葉に楓ちゃんは覚悟を決めたらしい。
「………うん、話してみるよ。もし、もしも別れることになったらやけ食いに付き合って。」
うん、それは絶対ないから。




