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その後 その5 バレンタイン

俺は期待に胸を膨らませている!


というのも今年は俺と美羽がホントの意味で付き合い始めてから初めてのあのイベント。

今年のバレンタインは…………。

ふっ、ふっふ、あーんなことやこーんなことをしてくれたり、してもいいんじゃないのか!

やばい、楽しみ過ぎて眠れない。

気を抜くと顔がニヤける。


そんな様子の俺を、新庄が可哀想な子を見る目で見てくる。


「奏多さま、そのニヤけ顔、外ではしないで下さいね。」


「しょうがないだろ、もうすぐバレンタインだぞ!俺の美羽が俺にチョコレートをくれる日だぞ!それにもっと凄いことだって……。」


ヤバい、想像するだけで鼻血でそう。

美羽がカワイイ顔で俺にチョコレートを……。


「ですから奏多さま、顔が崩れてますよ。そんな顔を美羽さまが見たら何ておっしゃるでしょうね。」


新庄のやつ木内に逃げられているから俺が羨ましいんだな。

何気に木内は凄い。

あの新庄から何度も逃走を繰り返しているなんて。


俺の考えている事がわかったように新庄が睨んでくる。


「新庄は木内からチョコ貰えそうか?」


新庄は俺の方を見て、恐ろしい笑顔で言った。


「奏多さま。バレンタインは別に女性からだけプレゼントを渡すイベントではないですよ。私はもう楓さんにプレゼントするものは用意しています。奏多さまも美羽さまに何か用意した方が良いのでは?」


お、おぉ、そうか、そうだな。

俺も美羽に喜んでもらえる物を用意せねば。

そうしたら、もしかしてホワイトデーで美羽からお返しがあるかも…。

俺がリクエストしたら何でも叶えてくれるとか……。

あ〜〜、メチャクチャ楽しみなんだけど。



その頃美羽と楓は…………


「ねえ、美羽ちゃん。渋谷くんにバレンタインにチョコあげるんでしょ?手作りとか?」


「うん、今年は手作りにしようかなって考えてたよ。他にも何かあげた方が良いのかな?なんかいつも貰ってばかりだし…。」


「渋谷くんだったら美羽ちゃんがあげる物だったら何でも喜ぶと思うよ。チューの一つでもしたらイチコロだよ。」


「チューって!もう楓ちゃん他人事だと思って…。楓ちゃんはどうするの、新庄さんにあげないの?」


「………美羽ちゃん。冗談でもその名前を出したらダメだよ。どこから現れるか分からないんだから。」


楓ちゃんは最近、新庄さんという言葉に敏感だ。

嫌いなワケじゃないと思うんだけど、新庄さんがグイグイくるから押され気味らしい。

イケメンは遠くから愛でるものだと力説してた。


たぶんだけど諦めた方がいいと思う。

遅かれ早かれ、どっちにしろ負けると思うから。


私のそんな考えが分かったのか楓ちゃんが睨んでくる。


「美羽ちゃん…。私チョコレートなんて絶対あげないからね!たぶん義理とかでも渡したら終わりだと思うの。私は目立たない生活がしたいのです。だから、新庄さんに協力とかしちゃダメだからね!」


「うーん、新庄さんに私の協力はいらないような気がするけど。楓ちゃんは新庄さんのこと好きじゃないの?」


「嫌いなわけではないよ。だけど告白されたからって付き合いたいと思うかは別だと思います!贅沢だと思われるかもしれないけど、私にはムリだよ。顔面偏差値が違い過ぎます!」


えー、楓ちゃんも眼鏡取るとかなりの可愛さなんですけどぉ〜〜。

はっきり言ってお似合いですよ。



バレンタイン当日 奏多&美羽


「あのね、奏多、今回のチョコ手作りなんだ。買ったものじゃないから美味しくないかもしれないけど…」


「美味しくないわけないじゃん!うわ〜〜、滅茶滅茶嬉しいよ!もったいなくて食べられない…。家に神棚あったかな。まず、そこに…」


「あ、あの奏多!せっかく作ったから食べられるうちに食べて、お願い!」


「そうだね!美羽が俺だけの為に作ってくれたんだもんね。美羽の事想いながらいただくね!」


う〜〜一言一言が恥ずかしいよぉ。

でも奏多が喜んでくれたんだもん、嬉しいな。

私が嬉しくてニコニコしてたら奏多が何かを取り出した。


「美羽、あのね、俺からも美羽にプレゼントがあるんだ。これ」


奏多が取り出したのは小さな箱だ。

え、これって。

奏多が箱を開けると中に入っていたのはペアリングだった。


「本当は美羽のだけ作ろうと思ったんだけど、俺も美羽のものだって思いたくて作っちゃったんだ。美羽を信じてるけど、他のやつが美羽に近づくのを少しでも減らしたいんだ!だから、俺の我儘だけどこれいつもつけてくれないかな?」


「あ、ありがとう!奏多!嬉しいよ!私、いっつも奏多に貰ってばかりでゴメンね。このリング大事にするね。奏多とお揃いだなんて本当に嬉しいよ!」


私はあまりにも嬉しくてなり過ぎて、つい奏多に抱きついてしまった。

すると奏多がビクッとなった。


「あっ、奏多ゴメンね!急に抱きついたりして」


私が慌てて離れようとすると奏多が強く抱きしめてきた。


「……美羽。どれだけ俺を夢中にさせたら気がすむの?もうこれは今日連れ帰っていいよね。そういうことだよね。」


ちょ、ちょっと、奏多さん!

奏多が何かブツブツ言いながら私を抱き上げる。


「美羽が悪いんだよ。可愛すぎるのがいけないんだ、うん。」


結局私は奏多に連れ去られた。

どうなったかは黙秘します。



バレンタイン当日 新庄&楓


「楓さん!さあ、これをお受け取り下さい!」


目の前には花束と私の好きなクマのぬいぐるみを持った人がいます。

何故私の好きなぬいぐるみを知っているんですか?

何故ここに当然のようにいるんですか?


「新庄さん…何度も言いますが私はあなたには似合いません。こちらは受け取れません。」


クマは好きだけど、プレゼントは拒否します。

何故にバレンタインに私にプレゼントを。


「楓さん、似合う似合わないは他人が決めることではありませんよ。私が貴方がいいのです。それからこのぬいぐるみは楓さんが受け取ってくれないと…………困りますよ。」


何を笑顔で言ってるんですか?

あきらかに脅してますよね?

このぬいぐるみ受け取らないと処分する気満々ですよね?


「はぁ〜〜、ぬいぐるみはぬいぐるみが可哀想なので受け取ります。もう、用件はないですよね。失礼します。」


そう言ってその場を離れようとしましたがそうは問屋がおろさないです。

新庄さんが私の前に来ました。


「楓さん…もうそろそろ落ちてはくれませんか?あまり無理強いはしたくないのですが。楓さん私の顔は好きですよね?キッカケはそれでいいので一緒にいて下さい。」


何を言ってるんでしょうか。

落ちませんよ。

確かに顔はタイプドンピシャですが、付き合うとなると問題アリアリですよ。

どうしたら諦めてくれるんでしょう?

いっそ聞いてみますか。


「あの、新庄さん。どうしたら諦めてもらえるんでしょうか?私は目立ちたくないんですよ。」


すると新庄さんは何やら良いことを思いついたような顔をした。


「やはり私が嫌ということではないんですね。もしそうでしたら困ってしまうところでした。目立ちたくないとおっしゃるならお望み通りに致しますよ。外では奏多さまのようにイチャイチャしませんし、触ったりもしません。だからどうか私と共にいて下さい。もし、ダメだと言われてしまうと毎日校門前で待ったり、毎日プレゼントをもって楓さんに会いに来てしまいそうですが……」


ノーーーーー!!

完全に脅しですよ〜。

美羽ちゃんヘルプ!

やっぱり勝てそうにありません。

私は白旗決定みたいです。始めから勝てる相手ではなかったのですよ。


「う、う〜〜わかりましたよ!降参です!付き合いましょう!その代わり外ではくっつかないで下さいね。もういっそ他人のフリして下さい!それが守れないなら即別れますからね。後私に飽きたらすぐ言ってください。」


「ありがとうございます。ずっと大切にしますよ。ずっとね。飽きるなんて有り得ないですから。別れることなんてないですよ。」


なんとも良い笑顔で言いのけます。

私はかなり早まってしまったのではないでしょうか?

後悔先に立たずとはこの事ですね。

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