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第15話 side奏多

ったく、どこまで馬鹿な親子なんだ。


特に美羽のことを馬鹿にするなんて、万死に値するぞ。

俺が怒りも冷めず、絶対零度の視線を馬鹿親子に向けていると、後ろから袖を引かれた。


美羽だ。

美羽は、俺にもうそろそろいいんじゃない?という視線を向けてきた。

俺としてはまだまだ言い足りないが、それよりも美羽との触れ合いの方が何百倍も大事だ。

あの、西尾のバカ女のせいで美羽パワーが著しくダウンしている。

うん、もう馬鹿親子の相手はいいや。

美羽といちゃいちゃしたい!


「というわけで、西尾さん達にはお帰り願います。改めて、私と美羽の婚約発表を行いたいので。」


俺の呼びかけに、控えていた我が家の警備の者たちが西尾親子を会場の外に連れて行こうとした。途中まで引き連れて行ったところで、西尾のバカ親父が暴れ出した。


「馬鹿にするのもいい加減にしろ!!下手に出てたら調子に乗りやがって!こうなったのも全部そこの庶民の小娘のせいだ!」


そう叫んだバカは警備の制止も聞かず、美羽目掛けて突っ込んできた。

咄嗟のことで誰も動けずにいた。

俺が美羽の前に出ようとしたところ、美羽が軽く手で制した。

俺がえっ、と思ってる間に美羽が一歩前に出た。

母さんが悲鳴をあげている。

会場中の視線がそこに集中した。まるで時間が止まっているようだ。


「この、小娘がぁーーーーー!」


バカ親父が美羽に掴みかかった…と思った瞬間バカ親父が飛んだ。

いや、ホントに空を飛んだ。

えーーーーーー!今のなんだ?


美羽を見ると、身だしなみを整えているところだった。


「あ、あの美羽、今一体何が起きたのかな?」


俺の問いに美羽は恥ずかしそうに答えた。


「えっと、投げちゃった。」


ってへ。って感じでハニカミながら髪も整えている。

おいおい、なんだそのハニカミは?メッチャ可愛いじゃないか!

って、俺、そうじゃないだろう。

えーっと美羽があの体格のいいバカ親父を投げ飛ばすって?!


「美羽…。」


俺は驚きのあまり言葉が続かない。

すると、それを悪くとったのか美羽が謝りだした。


「ごめんね!奏多。こんなところで投げ飛ばすなんて、お行儀良くなかったよね。あーもう、頭にきてたからつい投げちゃって。せめて、転ばせるくらいにしとけばよかった…。」


あっ、転ばせることも出来たんだ。

って、ちがーう!

美羽に謝まらせるなんて、違うだろ。

俺は慌てて美羽に話しかけた。


「美羽はまったく悪くないよ!悪いのはあの伸びてる奴だろう。それより、おーい警備!ボーっとしてないでこの伸びてる奴を運び出してくれ!」


それから慌ただしく会場から西尾親子が連れ出された。もちろん伸びてるバカ親父も一緒に。

もう、これで完全にあの会社とは切れたな。

そんなことを考えていると母さんが走って来た。


「美羽さん!凄かったわ!!綺麗に投げていたわね、何か嗜んでいるの?」


母さんが興奮したように、美羽に詰め寄っている。

確かに思わず見惚れてしまった技のかけ具合だった。

美羽は照れながら


「実は祖父が道場を開いていて、昔から顔を出しているうちに私も身に付いてしまいました。」


うおー、美羽にそんな特技があったとは!

まだまだ知らない事がたくさんあるんだな。

でも、俺はこれから美羽のことをもっと知っていくつもりだ。


しかし、その前に美羽にいろいろ謝らなければ。

美羽が許してくれるまで土下座でもなんでもするぞ。

俺は美羽がいないと生きていけない。


「美羽、いろいろ話たいことがたくさんあるけど、俺は美羽のことが本当に好き、いや愛しているんだ!だから俺と結婚してほしい。」


俺は精一杯の想いを込めて美羽に告白した。

…………………。

あーー、やけにこの待ってる時間が長く感じる。

と、その時美羽が


「………ふー。奏多、ほんとうにいろいろお互いに話すことはあるよね。でも、私も今回のことで素直にならなきゃって思うの。奏多、私も奏多のことが大好きだよ。結婚はちょっと早いと思うけどね。だから、これからはお互いに思っていることを話そ。そして、それからもう一度さっきの言葉を伝えて。」


美羽の言葉に俺は歓喜に震えた。

美羽が、美羽が、俺のこと大好きだって!

いやったーーーーーー!!


そこへ、父さんが苦笑しながらやって来た。


「この調子だと婚約は延期だな。まあ、たぶんすぐに奏多が頑張って美羽さんを口説き倒すと思うがな。」

「そうね〜、美羽さんに好きって言ってもらえただけで舞い上がっているけどね。」


二人とも一言多いぞ。

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