昼休み
河南高等学校。昼休み、1年A組。長城優希がいるこのクラスは他のクラスに比べ一段と賑やかだった。
「じゃあ、明日の放課後!!集会所でクリスマスパーティーやるから!部活は...自己責任で。これでいいかな」
優希は幼馴染の東島竜の顔を見て問いかける。
「俺に聞くな。みんなに聞けよ。」
「なんだよ。つれないな」
「みんな、いいかな?」
「いいと思う!!」と、周りからあちこちに上がった。
「じゃあ、決定だね」
「流石、委員長さんだ。委員長じゃなきゃ、パーティー行くなんて誰も言わないね。」
「ほら、委員長はなんでもできちゃうじゃない〜。おまけに顔までいいなんて、ねぇ奥さん」
「そーねぇー。本当私達、貴方のせいでもてないのよぉ〜」
「やめろ。春山兄弟」
「あれ?顔真っ赤だー!」
「ははっ!真っ赤だ!」
「なっ!そんなことねぇよ!」
「お前ら、茶化しすぎだ」
竜が春山兄弟の頭を叩いた。
「痛い!痛い!」
「竜ひどいー!」
二人は「わー」といいながら教室から出て行った。
「ありがとな。竜」
「いいよ。大したことないし。」
「にしても、本当、春山兄弟は瓜二つだ。違うとこって言ったら、ホクロくらいだよ。」
「よくあるパターンのホクロだな。俺もよく間違えるよ。」
「あぁ」
優希はふと思った。
「なぁ」
「ん?」
「今思えば僕がこの立場にいられるのは竜のお陰なんだよな。色々フォローしてもらってさぁ。部活だって竜のお陰で楽しいと思えるし。ありがとな」
「どうしたんだよ。いきなり。」
竜は笑いながらいった。
「いやぁ。なんとなく、思ったことは言っといたほうがいいかなって。いつ言えるかわかんないし、何があるかわからないし。もしかしたらもうこんな風に楽しく人生送れなくなるかもしれないし。」
「本当にどうしたんだ。お前。そんなマイナスに考えるやつだっけ。」
竜は驚いた顔になってそう言った。
「どうしたんだろうねぇ。今日、おかしいみたい。」
「熱でもあるんじゃないのか」
ハハッと笑った。
「そーかねぇ」
そんな二人を見ているクラスの女子達はこんなことを話していた。
「やっぱり、あの二人って爽やかー」
「いつも二人って一緒だよね」
「それがいいんだよ〜。爽やかイケメンが二人一緒って漫画みたい」
「本当由香は漫画よねぇ」
「あっーー!!!」
新島由香は大きな声を上げる
「どーしたの!?」
「漫画!漫画!優希ーー!漫画ー返してーー!」
「な、なんだよ。漫画って...」
「あっ!とぼけた!!また持ってくるの忘れたんでしょ!」
「ごめんって。明日持ってくるから」
「何度目ですか〜?その言い訳?」
ぐいぐいと由香が優希の顔に迫っていく。
「わ、わかった!ラーメン!ラーメン奢ってやるから!!ラーメン!いいだろ?」
「えー、ケーキ屋!それで許すよ」
「...」
「じゃあ、もー貸さない」
「わかった!ケーキでいいよ」
「イェーイ!じゃあそういうことで」
由香は女子達の中へ帰っていった
それを見ていた女子達はいつも、なぜこと二人は付き合わないのかと思うのだった。
「本当漫画には弱いよなぁ」
「漫画は大切。漫画は命」
「何言ってんだか」
竜はため息をついた。
その後春山兄弟は授業に遅れてやってきたのだった。