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旅は道づれ 四

 村につけば、そこはもう屍だらけのひどい有様だった。

 それらはすべて損傷がひどくばらばらで五体そろっているものはなく、どす黒い血をだれて地にばらまかれて、屍の破片はぴくぴくと痙攣をするのみ。

「ひでえな、共食いでもしたか」

 源龍はあたりを見回し、龍玉も同じように見回すが。虎碧はとても見ていられないと目を背けた。

「で、お前らの荷物はどこなんだ?」

「ああ、そうだね」

 龍玉は虎碧の手をとって歩きだし、源龍がそのあとについてゆけば。三人は村でも大き目の家屋に来た。そこは村長の家だった。

 無間道士率いる迦楼羅幇かるらほうを退治する間、寝泊りをさせてもらっていたのだった。

 ふたりは世話になった村長のむごい姿を思い出し、頭を振った。

 それからふたりは早歩きの動作で家屋に入ってゆき、しばらくしてから荷袋を担いで出てきた。

「行こう」

 龍玉は虎碧の手を取って早歩きに歩きだし、源龍がそれにつづき。

 三人は村から出て、歩けるだけ歩いた。

 やがて陽は傾き影も長くなる。

 そういえば、早朝に無間道士らをとっちめてからというもの、長い一日がようやく終わろうとしているのだ。 

 危機につぐ危機。この一日で何度命を落としそうになったことだろう。

「この先に村があるな」

「知ってるのかい?」

「まあな、昨夜はその村の宿で寝た」

「へえ、奇遇だね。あたしらもあの村に来るまえは、その村に泊まったよ」

「ふうん」

 源龍はにべもなくうわの空で応えた。同じところに来たのだから、ここらへんの地理にはいくらか詳しくなっているのも不思議ではない。

(第六天女のくそあまは、ここに来るように仕向けたのか)

 何かにつけて目の前に現れて、離れようとしてもしつこく目の前に現れて。それでも離れよう離れようと歩きまくって、気が付けば虎碧と龍玉と出会うことになった。

 ということは、虎碧と龍玉の動きもとらえていたということか。

(千里眼でもつかいやがるのか)

 なんにしても、かなりの曲者だ。前々からわかっていたことだ。そう、強くなりたい一心で弟子入りしてしまってから……。

(思えば俺もくそったれな奴だぜ)

 我知らずに歯を食いしばって「ぎりり」と音をさせてしまった。それを耳にした龍玉は、

「ん? 女とふたりでいるから欲情したのかい? 村に着いたらあたしが相手してやるよ」

 と軽く言い放って、思わず脱力してずっこけてしまった。

 どうも、龍玉にはずっこかされてばかりだ。

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