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旅は道づれ 二

 うぬぼれるな、と言った源龍は龍玉に顔を背けている。

(ん?)

 ふと、龍玉は源龍の横顔を見て、

(ははあ)

 と、口元をゆがませ。疲れてはいるがどうにか立ち上がると、つかつかと源龍のもとへ歩き、前に出た。

「なんだよ」

 龍玉になにかおかしなものを感じて源龍はまたそっぽを向いた。そんな源龍を見る龍玉の顔はやけににやついていた。

「あーあついわー」

 切れ目をつまんでぱたぱたと揺らせば、ささやかな風が谷間を流れて案外気持ちよく。ささやかな快感をおぼえながら、切れ目を揺らしながら、わざと小さく跳ねながら歩けば自慢の豊満な胸もぽよんぽよんと揺れる。

 それで目の前に来れば、また目をそらす。

「なんなんだ、いったい」

「あはは」

 いらだつ源龍を見て、龍玉は思わず声を出して笑った。

「あんた、女を知らないね」

「なッ!」

 ぎりッ、と思わず歯ぎしりをして龍玉を睨みつけたが、そんなのおかまいなしに人差し指と中指を開いて切れ目を広げた。

 その途端に、源龍の頬が真っ赤に染まって。あわてて顔を背ける。

 それを見る虎碧はあっけにとられて硬直してしまった。さっきまで命の危機に遭い、源龍があらわれたことでかろうじて助かったというのに。

 源龍が無愛想なのはいいとして、それに対する龍玉の態度はどうであろう。もし源龍が欲情して襲い掛かったらどうするつもりだ。

「あはは。虎碧、あんたもやってみなよ」

 戸惑っている様子の源龍を面白がって、龍玉は切れ目を広げて谷間を見せつけるのみならず、あろうことか指を谷間に突っ込んで上下になぞるではないか。

 たまらず源龍は回れ右して後ろを向いて龍玉に背中を見せた。

「龍お姉さん、もうやめてあげたら」

「あはは。まあねえ、だって、面白いんだもん。昔童貞の客をとったことを思い出してさ」

(客?)

 その言葉に、戸惑いを隠せない源龍もさすがに何か思うことがあり。虎碧は頭を抱えた。

「龍お姉さん、なにもそんなこと……」

「かまいやしないさ。隠してもしかたない」

 源龍はため息をつく。龍玉に対して怒るやら呆れるやら……。

「お前、娼婦だったのか」

「そうだよ」

 龍玉は屈託なく笑顔で応えると、

「金をもってくりゃ、いつでも男にしてあげるよ」

 とまで言ってのけて、さすがの源龍もこれには脱力してずっこけてしまうありさまだった。

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