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反魂玉 二

 ふたりはあわてて左右に跳躍し無間道士の攻めをかわし、無間道士はさっきまでふたりのいた場所に着地するやすぐさまに龍玉に飛びかかった。

「くッ!」

 龍玉右に跳躍しざまに剣を無間道士めがけて振るう。

 だがしかし、無間道士は剣を鷲掴みにして、そのまま龍玉に迫った。

「龍お姉さん!」

 虎碧急いで剣を閃かせて無間道士の背後から斬りかかる。しかし後ろに目があるかのように、無間道士はとっさに脚を後ろに振り上げ蹴りを食らわそうとする。

 虎碧それをすんでのところでかわすし、脚は脇腹のそばをすり抜けた。しかしなんという早さと勢いであろうか。もう少し遅れていれば確実にあばらを砕かれていた。

 それからさらに脚から離れるところだが、虎碧はとっさにその脚をつかんで後ろに引っ張れば、無間道士は姿勢を崩してよろけて剣を手放し。

 龍玉はとっさに後ろに下がって、さらにその次、地を蹴って無間道士の顔面めがけて鋭い刺突を食らわせようとする。

 無間道士は逃げようとするが、虎碧が脚をつかんでいるために逃げられず。剣はついに顔面を貫き、後頭部からは剣先が飛び出。一緒に血と脳漿が飛び散り。

 虎碧はそれを避けて後ろに飛びのき。

 龍玉もそれに続いて剣を引き抜いて後ろに飛びのく。

 これで無間道士をしとめた、と思ったのもつかの間――

 なんと無間道士は倒れるどころか、何を思ったのか残骸となった屍魔どものもとへ駆け寄ったかと思えば、地に伏してがつがつと屍魔の肉片を食らうではないか。

「な、な……」

 龍玉と虎碧は唖然とその様を見る。

 それをよそに、無間道士は肉片を鷲掴みにしては口元に放り込んで歯を立てて噛み砕いてのどに流し込む。

 食っているのは屍魔の肉片、屍肉である。

「ど、どうなっているんだい、これは……」

「わ、わからない……」

「なんでこう、気味の悪い」

「あ、龍お姉さん、今のうちに逃げましょう!」

「あ、ああそうだね」 

 ふたりは屍肉を食らう無間道士を尻目にだっと駆け出して、ひたすらに走ろうとした、その時。

 いつの間にか、目の前に女がいた。

 女は紫の衣を身にまとっており、鋭くも艶めかしいまなざしで、ふたりを見つめていた。

「誰だい!」

 龍玉はさっと剣をかまえて、虎碧も同じく剣をかまえる。

 さっきまでいなかったはずのその女はいつの間に現れたのであろうか。

 女はにやりと微笑むと、

「第六天女」

 と名乗った。

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