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君の隣を先約します。  作者: ゆきうさぎ
<第11章>
78/83

それってセンチメンタルジャーニー?(1)

「場所は学校でいいんじゃない?体育館借りようよ」

「そーだな。人はまだ受験終わってないやつが多いからそんなにあつまんねぇかも」

「だったらムービーとかにすれば?それかスケッチブックに一言書いてもらってどーかするとか」

「あ、それいいね!アルバムのほうはぎりぎり間に合うかなってくらい。もっと写真ない?」

「これでよかったら使ってー。もう私いらないし」

「うわ、なんでこんなに兄貴の写真あんの?しかも全部カメラ向いてないし」

「そりゃあ盗撮だからね」


時村に聞いてすぐに計画を立てて、いつメンに連絡をした。そしたら美弥から即行でラインのグループの招待が来て、話がものすごいスピードで進んだ。で、今はファミレスで朝からずーっと広い席を占領してみんなで高坂の送別会の準備をしていた。


「美弥、あんたこんなとこで油売ってていいの?もうちょいしたら試験でしょ?」

「誘っといてそういうこと言う?私だけはみられたくないもん。それに先生、卒業生になんにも言わずに勝手に行っちゃうなんて、いくら湿っぽいのが嫌いだからって、なんかひどいじゃん」


美弥はそう言って、さっきから学年の子たちにアポを取り続けている。かなり顔が広いっていうだけあって、もう学年の半分は連絡を取れているとのこと。こいつの携帯落ちてたらって思うと怖いな。一体何人の連絡先がばれるんだか。


「体育館の手配、できましたぁ!」

「さすが梨央!だてにバスケ部のキャプテンしてないわ」

「それ関係ないし。時間帯は7日の夜でいいんだよね?」

「兄貴は、7日に学校から完全にどくって言ってた。夜までいるかはちょっとわかんねぇかも」

「あー‥確かに」

「いるんじゃねぇの?てかいろ」

「うん、それだいぶ無理があるよね」


旬の言葉にみんなで笑いながら、いきなり乗り上げた暗礁に悩む。


「どれくらいの時間から使えそうなの?」

「んーとね‥6時には完全に空くって」

「6時か‥。なんとかなるでしょ」

「出た、楽天的な考え方。大事だけどそれ綱渡りだよね」

「でも今そんなの考えてたら間に合わないもん」

「うわ、楽天的なくせに的確なことを‥!」

「もう。そんな漫才してるくらいならみんな手元動かしてよ!あと5日でこれ全部仕上げるんだから、時間なんてないの。分かった?」


奈津子に叱られて、みんな自分の作業に戻る。フライドポテトとソーセージとから揚げとドリンクで何時間もファミレスに居座って、気が付いたときにはもう外は真っ暗だった。こうやって作業をしてると、日が暮れるのは本当に早い。


「俺と美弥は明日からクラスのやつらまわってメッセージ集めるわ」

「ん、りょーかーい」


って、いつから美弥のこと呼び捨てになった?聞きはしないけど、なんかすっごく仲睦まじくないですか?あれ、でも美弥確か、ケーキ屋さんのイケメンアルバイターに口説かれてるとかなんとか。


「旬がね、どーせこのいつメン、大学行っても会うだろうからよそよそしいのはやだって」


私が頭にはてなを浮かばせていると、奈津子が小声で説明してくれた。なんとも旬らしい考えだと思ってしまった。


「悪い、遅れた」


もう真っ暗になった今になってきたのは、髪を茶髪に染めて耳にピアスを開けた、高校の頃よりも数段男前になった陽斗だった。


「お、陽斗やっと来た!」


旬は陽斗の名前を呼んで、自分の隣に座らせた。陽斗はいつも勉強していた私たちに入っていたわけじゃなかったけど、たまにふらっと教室に来ては旬と時村とじゃれて遊んでいった。そのせいか、なんだか意気投合してしまって、今ではこうやっていつメンに加わっている。


「お、けっこう進んでんじゃん。さっき学校に行ったら高坂が学校辞めるかもって話で持ちきりだった」

「やっぱり?でもかもなんだね」

「そりゃあな。俺たちにまで隠したんだ。そこで在校生に言っちゃったら俺らに伝わるだろ」

「だな。あくまで隠し通して、春に実はってパターンっぽいな」

「はー。かっこつけちゃって」


みんなポテトを食べながら口々に思い思いの言葉を言う。ポテトの量が少なくなってきたから、私と奈津子はメニューを見て、もう一度ポテトを頼んだ。きっと店側からしたら、ポテトしか頼まないし、やたらと長居するし、迷惑な客でしかないんだろうな。


「とりあえずビデオレターみたいなんでいいか?なんか手加えたほうがいい?」

「時間があれば手、加えてほしいな。ちょっと面白おかしくしてもいいと思う」

「賛成!」

「おっけ。じゃあなるべく頑張ってみるわ」


旬はそう言って、構想を陽斗と練っていく。あーでもない、こーでもないと言ってるその隣で、奈津子と梨央はアルバムを着々と完成させていく。その隣で私と時村は、当日高坂を迎えるための小道具の準備を進めていく。そしてその隣で、美弥が学年のみんなと連絡を取り合ってエクセルで作った名簿表になにかを記入している。なんだか、文化祭の準備より真剣にやってるかもしれない。それもどうなんだって話だけど。





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