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君の隣を先約します。  作者: ゆきうさぎ
<第9章>
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勘違いダーリンと勘違いハニー(6)

「これはどういうことかしら」


改めて椅子に座りなおした深山ちゃんは腕と足を組んで私と時村を見た。なんとも威厳ある姿に気押しされながら目線を時村に向けると、こちらを見る時村と目が合った。


「時村君はわたくしのことをどう考えていらっしゃるんですか」

「…どうって、」


言葉を詰まらせた時村を横目に見ながら、私は怒る深山ちゃんを観察する。


「というか、深山は自分が抜かれたら誰とでも付き合うつもりだったのか?」


時村は質問を質問で返しておそるおそる深山ちゃんを見る。深山ちゃんは時村を睨みつけると「まさか」と簡単に否定した。


「時村君だからに決まっているでしょう」


あろうことか、そんなことまでいいだし、しまいにはほほをこの前のように赤く染めた。その姿は見ようによっては恥じらいの可愛らしい姿だけど、今のこの状況においては、赤くしてんじゃねぇよ!と言いたくなる。


「いや、だから何度も言ってるけどあれは事故で、」

「事故?そんな言葉で片付けられると思っているんですか?」


相変わらず、深山ちゃんの口調はきつい。というか、時村の口調が優しい。私の時とまったく違うような気がする。


「好きか嫌いだったらどっちなんですか?」

「好きか嫌いかって言われたら…そりゃ嫌いじゃないけど、」


そこまで言って時村は言葉を濁す。最後まで言いたくないと主張しているのだろうが、おそらくそれは彼女には伝わっていない。その証拠に、彼女はほほを赤く染めている。


「でしたら、もうこのようなことはやめていただけますか。わたくしにとってもとても不愉快です」


はっきりと、ここに入ってきたときと同じくらい凛とした声で、深山ちゃんは言って椅子から立ち上がる。そしてじっと時村を見据え、時村が動くのを待った。


「え、もしかして俺を連れて行こうとしてる?」

「当たり前です。こんなところにいても、あなたに何の得にもなりませんから」


深山ちゃんが言い切った言葉に、一番初めに片眉をあげたのは旬だった。時村は深山ちゃんのあまりに強気の言動に呆気にとられている感じで、ただ凛と立つ彼女を見上げている。


「それはお前じゃなくて時村が決めることだろ」

「はい?」


気に入らないという雰囲気を惜しげもなく出しながら言った旬の言葉に、深山ちゃんは見下すように聞き返す。なんだか雲行きが怪しくなってきた気が。一触即発ってまさしくこういうことを言うんじゃないだろうか。


「おい、時村。お前、本当に深山が思ってるような気持ちでこの前の結果とったのかよ?」

「…それは‥」

「…‥はっきりしねぇな、お前も。こんなのなぁなぁにしたっていいことねぇぞ」

「いや、わかってるけどさ」


それでもなお、時村は言葉を濁す。目を泳がせて、みんなの顏を見て、そしてまた考える。少しの沈黙の後、声を発したのは深山ちゃんだった。深山ちゃんの言葉の矛先は、言葉に詰まる時村ではなく、その隣にいる私。


「雪瀬さんも、約束を守っていただかないと困ります」

「約束?」

「はい。あの時言ったでしょう。時村君に近づかないでと」

「あー‥うん、確かに似たようなことは言われたけど、私それにうんなんて言ってないじゃん」


だよね?と美弥に聞けば「多分」なんてあいまいな答えが返ってきた。


「そんな屁理屈が通用するとでも」

「思ってますよ、私。だって本当に了承した覚えないし。だいたい、あんたの合計点数抜いたからって、みんなあんたのこと好きだと考えるのどーかと思うよ?その根本から直した方がいいんじゃない?ていうか、そんな思考回路早いこと捨てちゃったほうがいいよー。せっかく秀才な頭がもったいない」


わざとからかうように言うと、深山ちゃんは私を睨みつけた。美人ほどすごむと怖いって言うけど、あれ本当だよね。今の深山ちゃん、美人な顔がもったいないってくらい怖い。まさしく顔面凶器。あれ、違う?


「わたくしに喧嘩を売っているんですか?」

「んー?どーだろうね?」

「…今回がたまたまわたくしより点数がよかったくらいで調子に乗らないでください」

「調子がいいのはあんたのその思考回路でしょーが。なんで私の点数はたまたまで片付かれれて、時村の点数はたまたまで片付けらんないわけ。都合よすぎるでしょ」

「こんな侮辱を味わったのは初めてです」

「うん、私もこんなに人を侮辱したのは初めてだよ」

「「「「「(煽ってる‥。なんなら楽しんでる)」」」」」

「このわたくしを侮辱していいのは、わたくしが認めたわたくしより上にいていい人のみです」

「私今回あんたより点数良かった。つーまーり、あんたより上。侮辱する立場じゃん」

「わたくしが認めたという言葉を聞いてました?」

「お高いあんたが認める人間なんて何億分の1じゃん。あのね、認める気ないのに、認めた人とか言うのやめてくれる?」

「あります。まだ出会ってないだけです」

「出会ってないだけ?あんた自分がどんだけ偉いと思ってんの?どう育てばそんな歪んだ人格が形成されんのよ」

「歪んでません。歪んでいるのはあなたたちではないですか。人の忠告も聞かない、単純な思考回路しか持ち合わせていない、簡単に人を侮辱する。これのどこが歪んでいないとおっしゃるんですか」

「別に私、自分が歪んでないなんて言ってないし」

「プライドのかけらも持ち合わせてはいないんですね」

「プライド?そんなの邪魔になるだけじゃん。私ね、プライドの高い人間、一番嫌い」

「「「「「(…これだれが止めんの)」」」」」






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