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君の隣を先約します。  作者: ゆきうさぎ
<第9章>
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勘違いダーリンと勘違いハニー(2)

「ま、ぶっちゃけ賭けなんて今更してもって感じなんだけどねー。みんな深山に賭けちゃってたし、それに誰も当ててないから」


私たち2人をこっぴどく怒った美弥は何杯めかのミックスジュースを口にしていった。

…それって私たち怒られる必要って全くなかったんじゃないの?


「だってあんたたちが怒られたそうにしてたから。たまにはいいかなって」


なにひとつよくない。まったくよくない。だいたい怒られたそうってなんだ。確かにしゅんとはしてたけど。だって怖かったし。


「でも深山を落としたのはちょいまずいかもね」


美弥はミックスジュースのストローを回しながら言った。何か思い当たる節があるのだろう。少しだけ曇った表情が見て取れた。


「なんか問題ある?あの人今更落としたからって別に成績に深く関わってなんてこねぇだろ。俺たちとは違うんだし。それかあれ?家が学年トップじゃなきゃゆるさねぇみたいなお堅い家だとか?」

「どこのお嬢様よ。アニメの見すぎよ」

「じゃあほかに理由ある?もう内申だってわかりきってるし大学進学には支障でねぇじゃんよ」


高校卒業がかかってる私たちとは違ってね。


「そこじゃないんだって!もう、わかってないなー‥。…‥げ、」


大きなため息をついた美弥は、私たちの方ではなく、フロントの受付のところを見て、とてつもなく嫌そうな顔をした。まぁ声にも出してたけど。


「お前も口に出すタイプかよ」

「あ、でも美弥は口かたいよ」

「そういう問題じゃないだろ」

「‥あんたたち好き勝手言うのは後にしてくれる?来客よ」


…来客?まさか高坂?だったらある意味やばい。

そう思って出来た影を見上げると、さっきまで私たちの話の中心にいた人物、深山 聖良(みやませいら)が立っていた。名前負けしていない、綺麗な顔立ちは、どちらかというと純日本人といった感じ。黒髪がとても似合う、色白な、でもとても、とーっても気の強い女の子。なんかもう気の強いっていうの通り越してどっかの頑固じじいみたいな感じって、少し前に奈津子が言ってた。


「えー‥と用があるのはどっちかな、」


時村が引きつった笑顔を向けながらそう言った。深山さんはじっと時村をみつめたあと、きっと私の方を睨みつけた。‥なんで私だけ睨みつけられなきゃならんのだ。そのあからさまな態度の違いはなんだ。


「失礼ですが、雪瀬さんは時村君の彼女ですか?」


うわお。また確かに失礼な言葉を。なんかもう前置き必要ないじゃん。


「いや、違いますけど」


そう答えたとき、なんだか時村が一瞬だけ寂しそうな顔をしてみせた。その表情を不思議に思いながら深山さんを見上げると、なんだかさっきより怒った感じで私を睨みつけた。

‥えーと、んーと‥私、何した?


「でしたらわたくしの時村君にべったりするの、やめていただきませんか?」


‥…おっと。

‥…おっとっと。

今なんかさらっと、ほんとあいさつでかわすかのような自然な感じで、テポドン落ちてきたような気がしたんだけど。わたくしの時村君とか聞こえた気がしたんだけど。んー、気のせい?


「もう一度言いますね。わたくしの時村君につきまとうのはやめていただけますか?」


あちゃ、気のせいじゃなかった。

ちらりと渦中の時村を見ると、なんだかもう茫然って感じで。ただずっと深山のほうを見ている。ただ、深山はそれを見てポッとほほを赤く染めているところを見ると、どうも見つめられていると勘違いしているっぽい。ぽいっていうかこれは間違いなくしてるな、うん。


「えーと、深山さん?」

「なにか?」


おっと。だから私に対するその異常なまでの対抗心はなんなのさ。


「いつからこいつは“わたくしの”時村になったわけ?」

「今日からですわ」


あー今またさっきと同じような感じでさらっとなんか落ちてきたなー。


「今日って‥本気で言ってる?」


時村、今日も今日とて私にべったりだったんだけど?厚かましくも一緒に帰ろうって言って逃げる私を追いかけ回してくれたんだけど?そんな時村が今日告ってって…いやー、ないない。時村も美弥も開いた口がふさがらないって感じ。まぁ私もなんだけど。とくに時村に至っては稼働停止状態。多分この様子だと思考回路、故障中。


「こいつが告白でもした?」

「ええ、しました」

「うっそ、」

「いいえ、嘘ではございませんわ」


おお、言い切った。なんかここまで来るとすっごく潔いんですが。それでもしっくりこないのはどーしてなのか。と、悶々としていた時、目の前で頭を抱える少女、もとい、私の親友である美弥がため息をついた。


「深山、あんたあの噂本当だったんだね」

「はい?」

「あの噂ってどの噂?」

「…深山は自分の試験の点数を越えた人としか付き合わない、ってやつ」


なんじゃそら。


「で、これにはまだ続きがあって。深山って不動の学年トップだったから、ていうか誰も深山ほど頭のいい男子っていなくて」

「あー‥おっけ、理解」


つまり、自分よりいい点数を取った男=自分を好きな男、ってわけね。

はー‥相馬といい、深山といい、頭めでたいなー。でもって時村ほんっとかわいそう。うん、ごしゅーしょーさま。





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