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君の隣を先約します。  作者: ゆきうさぎ
<第9章>
59/83

勘違いダーリンと勘違いハニー(1)

「結局泣かなかったよなー」

「あんたなんかに泣き顔見られたら人生最大の汚点だわ」


時村は、私があんな話をしたのにもかかわらず、というかしてから余計に、私につきまとうようになった。いや、すっごく迷惑してるの気づいてくれないかな。あんたが隣にいるだけで、私がすっごく周りから睨まれてるの、わかってんのかな。新手の嫌がらせかなんかか。


「相変わらず仲良しこよししてんじゃないの」

「お、加藤もそう思うか」

「ふざけたこと言ってないでよ」


見上げていた首を声がした方に向けると、鞄を持った美弥が手を振っていた。


「なーに言ってんの。今あんたらの付き合ってる説が飛び交っててみんな受験勉強どころじゃないらしいよ」

「いや受験勉強しろよ」


そことこれは別の話だろ。


「で、とうとう期末テストの順位が出たわけね。ま、どーせトップはあの才女でしょ」

「あー‥うん、それがね?」


そこで言葉を切り上げてちらりと隣の時村を見る。時村もほほをポリポリ掻きながら私の方を見る。どちらとも説明しにくい事態に、なんと口にしていいかわからない。いや、説明はしやすい。別に一言で済むのだから。言いにくいのはその内容であって。


「ちょっと美弥聞いた?」


期末テストの順位が貼られた紙を見る生徒の中から出てきた奈津子は焦りながら美弥に駆け寄った。美弥は頭にクエスチョンマークを浮かべながら、奈津子にその先を促す。


「今回の期末、学年トップ時村君と直なの!」

「は?あんた何言ってんの。この2人がトップ?深山は?てか、時村はともかく直がそんなことするわけないじゃん」


そう、普段ならするわけないです。こんな目立つようなこと。もう一つ言うなら、隣にいる時村だって、考えの根底は私と似ているので、こんなことやらないです。


「深山さん、今回3位だって、」

「え゛、」


あ、やばい。美弥なんか黒いの出てる。なんかぶわぁって感じで。


「なおちゃーん、これどういうことか教えてくれるかなー?」


あ、鳥肌。やばい。これはやばい。だから言いたくなかったんだ。こいつが学年トップでいろいろ賭け事とかしてるの知ってるから。どーせ今回も深山にかけてたんだろうなってのが、もー透けて見える。


「あ、時村も強制だから」


という言葉通り、時村は美弥にがっちりその手を掴まれていた。あーうん、私もだけど、ほんとご愁傷様。








「で?どういうことか説明してくれる?」


美弥は漫画でいうなら、コテンって感じで、首をかしげて笑顔で言った。ほんと、これがブラックじゃなかったら超絶可愛いのに。今冷や汗ダッラダラなんだけど。


「私がわざわざファミレスにまで場所を変えて話してる理由、直知ってるよね?」


あーもー怖いー。笑顔が怖いー。


「直?」

「わかったから。素直に謝るし、素直に説明するから、その笑顔やめて」


とは言うものの、説明をしたからって美弥が素直に聞き入れてくれるわけはない。経験上、絶対ありえない。でも説明しなければ、美弥の怒りボルテージは上がる一方。自然とため息が漏れてしまった。


「で?」

「あー‥んー‥と…極論を言うと、高坂に脅された」

「‥もっとも端的に表したな、それ。兄貴が聞いたら怒るぞ、それ」

「端的にってことはあんたも思ってるってことでしょ」


いや、あれは間違いなく脅しだからな。

そう、これは期末テストがある3日前の話。高坂に放課後職員室に来いと立ち入り禁止なのに呼び出され、行けば生徒指導室に連れ込まれ、そこには毎日顔を突き合わす時村がすでにいて、すごく嫌な予感がした。こういう時の嫌な予感っていうのは、たいがい当たるみたいで、我らが担任はこうのたまわってくれやがった。

『次の期末で結果出さなきゃお前ら学校出れねぇぞ』

んなあほな。

心の中でそう呟きつつも、高坂を見ればいつになく真剣な表情だった。それを本気だと受け取ったのかはわからないけど、時村は『増田のせいかな?』と聞いてのけた。

『いや、なんつーか3年生の教師陣側がなー‥お前らの態度に不平不満があるらしいんだわ。で、教師陣が一致団結してお前らに成績をくれてやるなと。どこの教育機関にガキを見捨てる教育機関があるかってんだ。一応抗議はしたがな。俺は凛久の身内で雪瀬の担任だからな。だから、お前ら次の期末で結果出さなきゃ抗議もできねぇぜ?』


これを脅し以外のなんだっていうんだ。つーかなんでこんなこと3日前に言うんだよ。おかげで久しぶりに死ぬ気で勉強したよ、ありがとよ。


「なにそれ。あんたら本気でそれ言ってる?」

「嘘ならもっとこましな嘘つくから」

「じゃあなんで直はそれを私に言ってくれなかったわけ?私が学年トップが誰になるかいつも賭けてるって知ってたよね?」

「あんたそれあんまデカイ声で言うなよ」


お、時村たまには正論いうじゃん。


「たまにはは余計」

「あれ、しゃべってた?」

「心の声だだ漏れ。もう少しチャック閉めといたほうがいいよ」


なーんてとびっきりの笑顔で言われても、まったく嬉しくないんですけど!ぜんっぜんときめかないんですけどっ!!



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