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君の隣を先約します。  作者: ゆきうさぎ
<第7章>
51/83

trick or treat. ※お菓子はいらないのでいたずらします。(9)

「はぁ、」


結局、なんでかわかんないけど私が注文を取った2人分の料理を作って運ぶことになった。ほんと、意味わかんない。ま、代わりに私が好きなように作らせてもらったけどね。


「はいどーぞ」


私は2人の前に注文されたものを置いていく。置かれた料理を見て首をかしげた2人を見てると、少しだけ笑みがこぼれた。なんだか、いたずらが成功したみたいだ。


「俺サンドウィッチ頼んだよな?」

「そうだね。それ、サンドウィッチでしょ」


白いパンで具がはさまれた、まさしくサンドウィッチそのものだ。


「いやそうだけどさ。これ、ホットサンドじゃん」

「温かろうが冷たかろうがサンドウィッチには変わりないでしょ。パンは焼いてるのじゃなきゃ食べない人がこんなもの頼まないでよね」

「おま、覚えて、」

「勘違いしないで。あんたたちが来たことでキッチンにいる女の子たちが使い物にならなくなったから、たまたま私が作ったってだけ。あの子たちが作ってたらこんなふうに出てきてないんだから」


ふんっと鼻を鳴らして、私はキッチンの方へ戻っていった。


「覚えてたんじゃん」

「あいつあんなにわかりやすいくらいのツンデレだったか?」

「さぁ?でも可愛いことに変わりはないんじゃね?」


なんて会話がなされていることに私が気づくはずもなかった。







「…疲れた、」

「まだ終わってなんかないけどね」


宮城さんから小休憩をもらった私と美弥は控室で倒れこんでいた。たちっぱで足はパンパンだし、慣れないヒールで足痛いし、引きつった笑顔のせいで顏の筋肉は疲れてるし。疲労はピークと言える。いや、本当に。


「…あ、」

「どーした?」


ふと壁にかかる時計に目をやれば、まこがすると言っていた劇の20分前だった。


「いや、今日体育館で後輩が劇をするから見に来てくれって言われたんだけど。行ってあげられそうにないなぁって」

「いつになく後輩思いじゃない。あんたにしては珍しいわね」

「失礼な。私これでも後輩思いのいい先輩よ?」

「自分で言うな」

「あだっ」


美弥におでこをぴちって叩かれた。叩かれた場所をおさえながら美弥を見れば、美弥は笑って私を見ていた。


「行って来たら?」

「え、」

「だから、行って来ればって。あんた練り歩いてたけど休憩ないでしょ」

「それは美弥たちだって一緒でしょ」

「んーまぁそうと言えばそうなんだけど。あんたがいないと意外と来る客少ないんだよね。つまり、あんたが体育館に行けば、みんなそっちに流れて私たち楽になるんじゃないかなーって」

「‥一瞬でも感動した私の純粋な気持ち返してよ」

「ほらよ」

「うわ、きったね!なんのごみだよ」

「昨日から来る男客からのあんたへのラブレター。純粋だろ?」

「ラブレターが純粋かどうかなんてわかんねぇだろ」


つーか、なんであんたがそれ持ってんだよ。私宛じゃないのか。


「あら、今時ラブレターなんて代物書く人いないし。十分うぶで純情じゃない」

「そこをイコールで結ぶなよ」

「ま、ラブレターの中にはバラもあるけどねー。あんたまだ断ってなかったの?」

「ばらぁ!?‥断ったわよ!それをあの馬鹿、『君はツンデレだなぁ』とか言って、あろうことか私もあいつのことを好きみたいな間違った解釈してんのよ!」

「わーお。思った以上に頭とんでんのね。整った顏してるくせにもったいない」

「なんであいつは自分のいいようにしか解釈しないのよ!だいたい私ばらは嫌いだって言ったのに!」

「それも照れ屋さんなんだからって?」

「『僕の愛情表現なんだ。僕が選んだ君ならわかってくれるだろう?全く直は照れ屋さんなんだから』って。あ゛~今思いだしただけでも寒気がする、イライラする!勝手に選んだだけだし、名前で呼ぶなって言ったし、私照れ屋じゃないしっ!」

「最近荒れてるのはそれかぁ~」

「それかぁ、じゃないし。夏休み明けてから酷いんだからね」

「先生か時村君にそうだんしてみたら?」

「…なんでその2人なの?」

「(浮かばれないわねー、あの2人も。なーんでこんな鈍感な子すきになっちゃったんだろ‥)」


美弥は何も答えずにただ私を見てため息をついた。人の顏見てため息つくとか本当失礼だよね。


「ま、どっちにしろ行ってこれば?後輩ちゃん出るんでしょ?向こうには私から言っておくし」

「本当にいいの?」

「いいって!ほら行ってらっしゃい!」


美弥に背中を押されて、後ろを振り向けば、美弥は手を振っていた。


「じゃあ、お言葉に甘えて、」

「うん。お代は時村君が働いてるケーキ屋さんのケーキ、ワンホールでいいから」

「‥食いすぎでしょ!」


ワンホールって。どんだけ食うんだよ。美弥ならぺろって食べちゃいそうだけどさ。

私は手を振る美弥に手を振りかえして体育館に向かった。


----、ドン。


「いた、」

「お、悪い…て、雪瀬じゃん」

「は?‥時村?なんであんたここにいんの?」


と、思ったけど、よくよく考えてみれば、ここは6組の前。

あー‥うん。聞いた私がばかでした。


「体育館行くの?」

「そ。後輩が劇するから見にきてって言ってたから。来る?」


来るって。私なに言ってんだ。なに自分から誘ってるんだ。これじゃ私がこいつに気があるみたいじゃんか。


「あ、ごめ、仕事「行く!」‥は?」

「だから行くって!2年の劇おもしろそうだったし、俺もうこの仕事飽きたし。よし、雪瀬体育館行こう」


時村は私の手を引いて、3階の階段を勢いよくかけおりる。そのスピードといったらすさまじい。

…どーしてこうなった?

…‥私のせい?

やっぱりこれ、自業自得‥?





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