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君の隣を先約します。  作者: ゆきうさぎ
<第7章>
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trick or treat. ※お菓子はいらないのでいたずらします。(8)

「なーんーで、こうなるんだ!」


さっきの1件から、たて続きに起こる不祥事に、文化祭実行委員は頭を抱えていた。それに苦笑する狼男さんはすごく疲れ切っていて、店を休憩中にしているため、教室の前は待っている人で溢れかえっていた。そして、文化祭実行委員の不満とも取れる言葉は、ほかでもない私に向けられたもので。


「なんでって言われても私困るんだけど」


これ決して私のせいじゃないと思うんだよね。不可抗力ってやつ。


「開き直るな!」

「そんなこと言われたって、こんなの開き直る以外にどうしろっていうのよ」

「あーもー、なんであんたってそういうところでプラス思考なのよ!」

「マイナスに考えたっていいことないじゃん」

「そうだけど!でもあんたは開き直るな!」


文化祭実行委員はきゃんきゃんと私に吠えてから、なにか対策を練っている。その後ろ姿を見ながら、思いついたことを美弥とあれやこれやと話す。


「つーかさ、もう私奥に引っ込んじゃったほうが早くない?」

「出た、極論」


だって私13時からの劇見に行きたいし。


「それはだめ!あんたがいなくなったら客が減る!」

「まぁ私たちからしたら減ってくれた方がむしろ好都合なんだけど」

「じゃあそれでいいじゃん」

「えー、でもそうしたら直の仕事なるなるじゃん。なんのためにそんな可愛らしい格好してるのよ。あ、先生に見せるためか」

「黙れ」

「おー、ばっさり」


なんで高坂に見せるからって私がこんな格好しなきゃならんのだ。気に食わん。


「じゃあさ、もうこの仕切りとかなくしちゃって、オープンスペースにしちゃおうよ。そしたらみんなの目もあるから下手なことできないし。本来の形に戻したら?みんなもともとはウェイトレスなんだし」

「狼君ナイスアイデア!」

「橘ね」


狼君の案は即採用され、文化祭実行委員(名前は宮城さんって言うらしい←)は見事なまでの指示をとばして教室はみるみる変わっていった。


「はー‥よくもまぁこんな短時間で変わったわね」

「まったく。何日も費やして作った時間ってなんだったわけ」

「さ、みんな支度して!開店よ!」


宮城さんの声に、狼君が教室の扉を開けた。ぶわっと人があふれてきて、教室の中の状態が変わったことに目を丸くしていた。狼君がその説明をして教室の中に入れる。入ってくる人たちは明らかに落ち込んでいた。


「下心満載だな」

「間違いない。何しに来たんだって話」


そんなことをぼやいてから、私たちは座ったお客さんにメニューを渡しにそこへ行く。注文を取って、キッチンへ戻って、出てきた料理をテーブルに運ぶ。その繰り返し。


「はー…なんで人減らないのよ」

「直の集客力のせいでしょ」

「私だけのせいじゃないでしょ」

「ま、宮城の戦略勝ちってとこね」

「そういうことよ」

「げ、どっから沸いたんだよ」

「沸いた言うな。ぶつくさ言ってる暇があったら注文取っていて」

「「へーい」」


なんつー人使い荒いんだよ。絶対ろくな死に方しねぇぞ、あいつ。


「すいませーん」

「はーい。ご注文はお決まりですか?‥って、」

「あれ、雪瀬じゃん」

「直、なんつー格好してんの」

「なんであんたらがここに来てんの」


最悪だ。

さっきから女子が珍しくキャーキャー言ってると思ったらこいつらかよ。超絶美形の、あ、片方は超絶美女だけど、陽斗と時村。まじで何しに来てんだよ。


「3組にめちゃくちゃ美人な女の子がいるからっていう噂聞いてさ。確かにこのクラス、比較的に可愛い子とか多いけど、そんな騒ぐほどの美人いたっけって谷口と話してて。で、俺らシフトでちょうど休憩だからついでに来てみた」

「で?来てみたら私だったと」

「でもまぁ、これは納得だわ」

「俺も」


納得とかそんなのいらないんだけど。


「‥なんでもいいや。で?注文は?」

「可愛げねぇなー」

「うっさい。頼まないなら出てって。こっちは休憩ないほど忙しいの」

「じゃあ俺カプチーノとサンドウィッチ」


陽斗はメニューを見ながらそう言ったから、私はそれをメモに書く。そのあとに時村を見ると、時村と目が合った。


「優柔不断かよ」

「うっせぇ」

「あんた辛いの好きなんでしょ?だったらチリソースのホットドックとかにすれば?飲み物はカフェモカがおすすめだからそれにしとくねー」

「‥勝手だな」

「決めるの遅いあんたが悪い。こっちはどんだけ回転率あげるかにかけてんの」


それだけ言い残して私はキッチンに戻る。キッチンにいる女の子は仕事をほぼ放棄した状態で、さっき注文を取った2人を見ている。


「あのー‥あれ焦げてません?」

「え?‥って。あぁぁあ!!見惚れてたからつい!」


ついじゃすまないでしょーが。商品焦がしちゃったら。どーすんのよ、この真っ黒な物体。もうなに作ってたのかもわかんないくらい焦げてるんですけど。よくもまぁこんなになるまで気が付かなかったな。ある意味怖いよ。


「私はやっぱ谷口君かなー!」

「えー!時村君ああ見えてかっこいいから!」

「どっちもかっこいい!」

「いや、お前ら仕事しろよ」


なんで調理場そっちのけでイケメン見てんだよ。


「あ、見て!榎本兄!いつ見てもイケメン!」

「旬君爽やか~!」

「‥だから仕事しろって」

「やだ!今日准君もいるじゃん!」

「准君かっこいい~!私狙っちゃおうかな!」

「私旬君派だなー!」


…だから、仕事‥。









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