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君の隣を先約します。  作者: ゆきうさぎ
<第7章>
46/83

trick or treat. ※お菓子はいらないのでいたずらします。(4)

文化祭2日目、基、文化祭最終日。

昨日と同じように控室に行けば、椅子に座らされて、昨日着替えさせられてから化粧をされる。30分くらい経っただろうか。「上出来」という自己満足の言葉が頭から降ってきて、その子の顔を見ると、ふわりと笑っていて、私に手鏡を渡した。


「誰これ」


なんて言葉を、私は昨日も言っただろう。

だけど、昨日とは違う顔で。昨日はもともと中性的な顔っていうのもあって、男にしか見えなかったけど、今日はウィッグをかぶっているっていうのもあって、どこからどう見ても女にしか見えない。髪型でだいぶ変わるんだなって痛感してみたり。髪は昨日と同じ金糸で、少しパーマがかっていて、長さは背中まである。本当に別人。


「さ、教室に行きましょうか。もう朝のショート始まってるだろうし」


そう言われて、私は走りにくいドレスで走って教室に向かった。閉められた扉からは高坂の声が聞こえてきて、彼女はなんの戸惑いもなくその扉を開けた。彼女で影になって教室の中や高坂の表情は見えないけれど、聞こえてきた声は、明らかに怒っていた。


「おせぇ。俺のクラスで遅刻するたぁいい度胸じゃねぇか」

「そんな怒んないで下さいよ。ちゃんと理由があるんですから」


そう言ったあとに、彼女は私の腕を引いて、私を教室の中に入れた。いきなりのこと過ぎてよろけてしまった私は、思っていた以上に前に出てしまったみたいで、顏を上げた先には、先生の身体が目の前にあった。

…やべ。


「……先生のお気に入りの直ちゃんです!」

「ちょ、だからなんでみんなそんな紹介するの!」


昨日も思ったけど!別に嬉しくないし!

おそるおそる視線を上に上げていくと、私を見つめる高坂と目が合った。その瞬間、高坂は顔をそむけて「まじか」と、本当に小さい声で言った。いったいどれだけの人がそのつぶやきを聞いていたのだろうか。もしかしたら、私しか聞こえていなかったのかもしれない。


「はー‥直、化けたねー。女の私でも見惚れちゃうくらい綺麗じゃない。ドレスだって似合ってるし。やっぱあんたは男の格好より女の格好してる方がいいよ」

「そりゃ私も一応は女の子だからね」


美弥と話しながら席について、高坂の朝のショートを受ける。高坂はなんだかんだ言いながら、ちゃんと出席扱いしてくれたみたいで、遅刻にならずに済んだ。


「わかっていると思うが、今日は文化祭の2日目だ、時刻は9時30分から17時まで。で、18時から第3部の夕夜祭が始まる。これは別に全員参加とかじゃないから、来たいやつだけ来ればいい。ただ、原則として、模擬店等の服装での参加だ。言っておくが、はめは外すなよ。特に男子!俺はそこまで面倒は見ないからな」


そう言って、クラス中を見渡して、そのあと、ある一部の男子の集団を見た。


「なんで俺らなんだよ!」

「なんだ、お前らって自覚あるんじゃねぇか。けっこう、けっこう」

「いや、こっち見ただろ!」

「あ?なんで俺がむさくるしい男を2度も見なきゃならねぇんだ」

「むさ苦しいのは先生だって一緒だろ!」

「てめぇらガキと一緒にすんな」

「むかー!」

「なんだっていいが、お前ら学校でヤんな。今日はいろいろ人の目に触れる。わかったな?厄介ごとはごめんだ」


うわー‥結局言っちゃたよ。さっきまでちょっとオブラートに包んでたのに。しかも生徒を思って言ってんのか、自分のために言ってんのか、よくわかんないし。まぁ、3:7くらいの割合なんだろうけどね、高坂のことだし。


「じゃあショートは終わりだ。お前ら準備に取り掛かれ」


高坂はそう言っていつもみたいに出ていくのかと思えば、すぐそばにあった椅子にどかっと座って名簿を開いてなにかを付けていた。


「あ、」

「どした?直」

「荷物、こっち持ってきちゃった。私おいてくるね」


つーか、ハット向こうに置いてきちゃったし。いつになく抜けてるなぁ。

私は歩きにくいと思いながらも、立ち上がってさっきまでいた控室に戻った。







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雪瀬が動きずらそうに歩いて教室から出ていく。その後ろ姿を見るとまたため息がこぼれた。開いていた名簿帳を閉じて、またため息。

‥どーかしてるな、俺。


「そーんなに直が気になる?」


そう言って、教壇に座ったのは、雪瀬の自称親友だと豪語する加藤。


「パンツ見えるぞ」


つーか教師の前で教壇の前に座んなよ。


「見てみる?高いけど」

「ガキのパンツにゃ興奮しねぇよ。視界の暴力だ。足を閉じろ」

「うわ、ひっどい。わかんないよ?セクシーなの穿いてるかもしれないじゃん」

「なら公然猥褻か?どっちにしろ視界の暴力だ。つーかガキにゃ興味ねぇよ」


いくつ下だと思ってんだよ。‥7つか?8つ‥?そんなもんだろ?しかも凛久と同い年。自分でも考えらんねぇな、そんなこと。


「えー!私少し前、13歳上の人と付き合ってたもん!その人、私に欲情してくれたもん」


‥こいつ朝からなんつー話してんの?つーか、13歳も上って‥。なんかよくないことしてんじゃねぇの、こいつ。


「言っとくけど援助交際なんかじゃないからね!」

「なら街でテキトーにひっ捕まえたか」

「だーかーら!なんでそんなふうに考えるのよ」

「そりゃ加藤だからな」


遊んでそうじゃん。雪瀬とは違ってさ。だからたまに思うんだよ。こいつらが親友だなんて言えるほど仲が良いなんて、おかしいだろって。正反対とまでは言わねぇけどよ。


「つか13も下って‥ロリコン?」


こいつならありうるよな。年よりは2つか3つくらいは若く見られるだろうし、どう見たって童顔だもんな。普段は雪瀬の隣にいるから余計に幼く見えるんだよな。


「あー‥否定しないわ」

「しねぇのかよ」


そりゃあロリコン好きなら、こいつにも欲情するわな。もろ好みだろうし。童顔の顏とちっこい身長のわりに、出てるとこは出てるしな。


「やだ、先生今変なこと考えてたでしょ!やーらしー」

「心配すんな。俺はお前には欲情しねぇ」


興味ねぇわ、とまでは言わねぇけどよ。あとできゃんきゃん言われるのはごめんだしな。







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