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君の隣を先約します。  作者: ゆきうさぎ
<第4章>
25/83

夏に恋は必要ありません(7)

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みんな各々花火に火をつけていく。2本持ってる人もいれば、4本くらい欲張って持っていってワタワタしている男子も何人かいた。


「もう終わりか?」


周りをただ見渡していた私に、榎本兄弟2人は目ざとく気付いて花火を数本持ちながら寄ってきた。幼馴染みなんていう星の元に生まれてきちゃったせか、こいつら兄弟は保育園から今の今までずっと一緒だった。話もしてないのに高校も同じになったし、小学校の時からクラスだって片方とは絶対に一緒になった。腐れ縁ってこういうこと言うんだなって痛感してしまう。おまけに兄の旬に関しては、いろいろと周りに気が使える性格だからか、こうやって私がひとりでいるとすぐに気が付いて隣に来るのだ。まぁ准も似たようなとこあるけど。


「別に。ただ時村君に直取られちゃったなーと思って」

「時村に?」

「意外だな。その2人に接点があったなんて」

「そう?今日何度か一緒にいたし話してたよ?ちょっとだけ直に時村君との関係聞いたけど、別に何もないっていうか、1回一緒に工藤に怒られただけだって言ってた。まぁそれにしてはけっこう仲良さ気なんだけどね」


2人だけで海のほう向いて花火なんかしちゃって。ていうか、とっくに花火の火なんて消えちゃってるでしょ。いつまでそこで話してんのよ。


「せーっかく直と花火しようと思ったのに。なんか彼女とられた気分」


彼女とかいたことないけど。


「いたことないだろ」

「いいの、そんな気分なの」

「それなら娘をとられた父親の気分だろ」

「それこそわかんない」

「がき」

「准に言われたくない」


つーか、娘をとられた父親の気持ちがわかったら大人なのか?


「にしてもあの2人いい雰囲気だよね。あのままくっついちゃえばいいのに」


美男美女カップルの誕生じゃん。


「ばーか。そんなのあの愛美様が許すわけないだろー。見ろよ。あいつさっきからああやって時村と雪瀬のほうばっかちらちら見てんの。そりゃあもう般若の形相で」

「女の嫉妬ほど怖いもんないもんな」


ハハハって笑いながら旬と准は話す。てか、女の嫉妬が怖いってわかってるならいい加減自分たちのせいで私にもいろいろと被害が出てるんだってことに気づいてほしいんだけどね。ほら、今だって何人か深田さんみたいにこっちを睨む女の子たちがいるんだから。それにも気づいてよ。なんでそういうとこだけ鈍いのよ、こいつら。


「わかってんなら、嫉妬買わないようにしなさよね。こっちだっていい迷惑してるんだから」


なんて、ちょっとだけ愚痴ってみたり。ま、こう言ったって、こいつらには届かないんだけどね。なんてったってかなり鈍いから。准なんて女慣れしてるのにこういうの全く気が付かないんだもん。周りが見えるんなら自分のことも考えろっての。


「あ、帰ってきた」


旬があの2人を見ながら言った。和気藹々と楽しそうに話しながら花火が置いてあるところまで歩く2人はすごく様になっている。というか、かなり絵になっている。


「あれ、花火しないじゃん」


燃えた後の花火をバケツに入れて、2人はバーベキューをしていた場所へと行く。それを目で追う私たち3人と深田さん。深田さん、なんだか怖いんだけど。2人が何しているかまでは見えなかったけど、2人がすぐに戻ってきて、その手には缶があった。


「雪瀬を酔わせてお持ち帰りしようっていう魂胆じゃねぇの?」

「准じゃねぇんだから、時村がそんなことしないだろ」

「おま、俺がそんなことしてるみたいな言い方すんなよ!誤解招くだろうが!」


すでに招いちゃってるけどね。准は旬と違って軟派だってみんなから言われてるし。そのおかげで旬は硬派って言われてるけどね。実際はどうかはわかんないけどね。女の子、なんだかんだいって好きだし。

もう一度あの2人を片手にチューハイを持ちながら、花火を選び火をつけていく。なんだか、あそこだけ2人の世界って感じだ。なーんか、ラブラブなカップルみたいなんですけどー。


「にしても、雪瀬って思ってた感じとだいぶ違ったよな。俺、今日だけですげぇイメージ変わった」

「俺もだな。もっとクールな日本人形だと思ってた」


‥日本人形って。それ褒めんてんのか。直、黒髪だけどぱっつんじゃないよ。しかも顏、女っていうかどっちでもいけるような顏してるし。


「ね、だから言ったでしょ!あの子は絶対にいい子だって!もうちょっとしか高校生活ないのに、仲良くなれないなんてもったいないじゃん」


いつも美弥とか高坂先生としかからんでないもん。その時の直、普段と全然違うし。最近、高坂先生と一緒にいることが多いから、喜怒哀楽が出てきたもんね。


「黙ってたらただの怖いイケメンだけど、話してみたら、可愛い女の子って感じだったな」

「ほんとそれな。時村もあんな笑顔で接してなかったのにな。今のクラスでだって、寡黙な美少女って感じだし」

「時村君ってそんな感じなの?もうちょっとフレンドリーだと思ってた」

「んー、まあフレンドリーっちゃあフレンドリーなんだけど、ほら、笑顔が少ないっていうの?くっつく女子と熱烈な男のファンが多くて、笑うと周りがうるさいからって言ってた」

「大変なんだねー、時村君って」


それ、直にも当てはまるんだろうなー。毎朝、直、教室に走って入ってくるし。後ろになんかすごいのつけて。あれ、毎朝してるんだって思うとぞっとするよね、うん。

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