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君の隣を先約します。  作者: ゆきうさぎ
<第4章>
23/83

夏に恋は必要ありません(5)

「ありがとう、榎本君」

「旬でいいよ。雪瀬って意外と喋りやすいやつだったんだな」


なんかそんなこと奈津子にも言われたような気がするんだけど。普段の私にみんなどんな印象持ってんの?そんなに悪い印象持ってんの?


「3年になって初めて同じクラスになったから、俺あんまり知らなかったんだけどさ。雪瀬って美人で男前な顏してるんだけど、すっげぇクールで何考えてんのかわかんねぇし。怖いっていうか、大人びてるっていうか」

「それ、奈津子にも言われたんだよね。名前呼ぶのも怖かったみたいなこと言われたし。美弥とばっかつるんでたからってのもあるんだけど」


そう思うと、私の世界ってすっごく小さかったんだね。


「確かにな。でもさ、高坂とからむようになってから雪瀬って変わったと思うよ」

「変わった?」


高坂と絡み始めてから?それって、私が頻繁にぱしられるようになってからじゃない?


「いい意味でだって。なんつーか、人間らしくなったっていうか、よく表情が変わるようになったっていうか。最近みんなで言ってたんだよ。雪瀬って表情あんなに変わるやつだったっけって。今日なんか、笑顔でいるから。俺、雪瀬の笑顔って初めて見た気がするもん」


いやいやいや、私ちゃんと笑ってますから。人をサイボーグみたいに言わないでよ。…あ、違うな、冷血漢か。


「普段、人形みたいなんだもん。笑ってるっていっても微笑む程度だし、今日みたいな笑顔、学校じゃめったに見ないよ」

「よく見てんなぁ」


なんか呆れるよ。


「別に好きとかそんなんじゃないよ。ただ、お前って一目引く存在だからさ。どうしても目が行くんだよな」

「あ、そ。別に好かれてもって感じだけど、言ってくれてありがとう」

「…雪瀬って変わってるよなー」

「それ、この前誰かにも言われた」


ちらりとその誰かを見た。男女入り乱れた中心にそいつはいた。隣には私に見障りだと言った縦巻きガールがいた。さっきと同じように、当たり前のことのように腕に触っている。さり気に胸を強調しているように見えるのは私だけだろうか。あれが言われるモテテクというやつだろうか。


「さすがだよなー。美少女なのに女にももてるんだもんな」

「そうだねー」


なんだか複雑になって、それくらいしか返すことができなかった。


「栗原、時村の落とすのに必死だよな」

「そうだねー。…‥て、」


さっきまで話していた声と違う声が聞こえてきた。そうだねなんて返しちゃったけど、びっくりして榎本君の方を見ると、榎本君が2人いた。


「‥ドッペルゲンガー?」

「「双子だよ!」」


あ、はもった。やっぱドッペルゲンガー。←


「ドッペルゲンガーって。君、天然?」

「あ、顏一緒だけど、雰囲気全然違う!」

「雪瀬それ失礼じゃね?本人前にしていうことじゃねぇだろ」


同じ顏なのに、本当に全然違う!


「ねぇ、どんなふうに違うの?旬ってどんな感じなのかな?」


ふわりと同じ顔をした人は言った。


「どんなって言われると困るけど‥、そーだなー…爽やかだよね。サッカーとかバスケとかスポーツがすっごく似合うっていうか。でもって、ちょっとクールな感じもするよね。人のこと言えるかって話だけど」


短髪で、クールで、切れ長の瞳で、でも笑顔は可愛らしい。絶対モテるじゃん。


「じゃあ俺は?」

「えー‥一言で言うと王子様って感じだよね。見た目、優しそうっていうか紳士的っていうか。まぁ、実際はそうでもなさそうだけど?」


ミディアムくらいの長さの髪にパーマかけてて、ふわっとしてて、同じ切れ長の瞳なのに優しそうに見える。おそらくこっちもモテる。イケメン兄弟か、くそ。


「あれ、ばれちゃってる?」

「だって榎本の双子だろ?そんなのわかるじゃん」

「え、それって俺が優しくないってこと?」

「そんなこと言ってないじゃん。でも優しそうで紳士的なわけないじゃん」

「雪瀬さんてけっこう言うね。それは見ため通りなんだね。あ、俺は旬の双子の弟の准」


旬と准か。なんか紛らわしいね。つーかどっちも榎本君じゃん。何て呼んだらいいかな?‥フルネーム?


「准でいいよ、俺のことは」

「俺も旬でいいよ。榎本って呼ばれたら、どっちかわかんねぇしな。それよか、准さっきあっちにいなかったか?」


旬があっちと指差したのは、時村がいる方を指さした。准はそっちを向いてから嫌そうな顔をした。

あ、この顏が本性ってか本音の表情なんだろうな。


「だってさー、あっち女の子みーんな時村に夢中なんだもん。面白くないじゃん」

「まー確かにそうかもしれないけど。時村はすげぇ嫌そうに相手してるみたいじゃん」

「愛美のアプローチがすげぇんだもん。あれはドン引きだぜ?見てるこっちが不快になるっての」


王子様はすっごく口が悪いようです。そしてあの縦巻きガールは愛美という名前らしい。初知り。


「深田なぁ。少し前まではお前の横にべったりじゃなかったか?」


縦巻きガールは深田というらしい。深田愛美。可愛らしい名前してるなぁ。


「それだよ。まぁ愛美みたいなのはこっちから願い下げだし、いつ言おうか迷ってたくらいだし。時村には同情はするよ」

「なら助けてやれよ」

「よく言うよ。愛美のあの肉食獣みたいな目見たら、話すのやめようって思うから」

「間違いないか。ほら、肉と野菜焼けたからもってけ」

「お、サンキュ。旬の皿は?お前食ってないだろ」

「あーと、いいや、お前ので食うわ」


なんつーか、仲良い兄弟だな。ちょっぴりうらやましいかな、うん。


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