表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の隣を先約します。  作者: ゆきうさぎ
<第3章>
16/83

友達は悪魔のようで魔女でした(4)

「ほら、完成!」


私はフライパンの中にあるふわふわのオムレツを形を整えたチキンライスの上に丁寧に乗せた。湯気をまとったオムレツに縦に包丁をいれると、とろっとした卵の傘がチキンライスにかぶった。


「おお!店で見るやつみたい!」

「あ!まだ食べちゃダメだからね!」


「まったくもう!」と言いながら、私はオムライスの上に作ったデミグラスソースをかけた。我ながら上出来だと思う。これでまずいとかなんか苦情言われたら、もう二度と作ってやらない。


「さ、食おうか」


高坂は手をそろえていただきますと言ってオムライスを食べ始めた。それにつられて私も時村も手を合わせてからオムライスを食べ始めた。


「そういや、お前らなんで一緒にいたんだ?俺の記憶が正しけりゃ、お前加藤と一緒に教室飛び出して行っただろ」


よく見ていらっしゃる。


「あーそれね、」

「俺のバイト先に来たんだよ」

「凛久の?てーことは新しくできたあのケーキ屋か?」

「そ。まぁ、同じアルバイトの子見に来たみたいだけど」

「ちょ、私が見に行ったみたいな言い方やめてよ」


私、強制連行されただけなんだから。


「でも実際見に来たんだろ?明日行けば会えると思うよ。さっきも言ったけど、あいつ明日朝から入ってたし」


なんか、時村不機嫌なんだけど。どーしてー。そんなにおいしくなったかなー。


「美弥は明日も行くみたいだよ」


あの子、無類のイケメン好きだから。イケメンに関しては雑食だから。


「加藤も好きだな、ほんと。まぁ、それで問題起こさなかったら俺は何してくれてもいいんだけど」

「先生って本当に放任主義だよね」

「ん?かまってほしいってか?」

「言ってないですー!」

「加藤って、」

「あ、今日私の横にいた子。自己紹介されたでしょ?」


顔だけは一級品なんだけど。どうも、中身がねー。あのイケメン好きを何とかすれば、もう少しましなんだろうけど。可愛いからそれなりに許されちゃうってのがミソだよね、ほんと。


「オーナーがその子、バイトに誘ってみようかなって言ってた」

「…美弥を?」

「雪瀬じゃなくて残念だったな」

「「別に」」


あれ。なんで時村が答えてんの。しかもなんか言葉がかぶったからかもしれないけど拗ねてるし。


「まぁ、いいんじゃない?美弥、スイーツもイケメンも好きだし、しばらくはもつんじゃないかな。ただあの子、いろんな意味で飽き性だからすぐ辞めちゃうかもだよ」

「いろんな意味で?」

「そー、いろんな意味で。ま、そこはあんまり深入りしないでよ」


ね?と時村に言ってから、食べ終えた皿を流しのところまで持っていく。水につけてスポンジを手に取ったところで隣に時村が来てくれた。なに?と聞けば、時村は小さな声で「俺がするよ」と言ってくれた。私はその言葉に甘えて時村にスポンジを手渡した。


「うまかったよ。俺明日は春巻き食べたいなぁ」


ああん?

ちらりと声のする方を見ると、にやりと笑う高坂が目に入った。このイケメンに苛立ちを感じるのは私だけだろうか。顔には出さないが、けっこう今のきたよ?


「雪瀬、顏引きつってる」


誰のせいだよ。


「て、ことで明日は春巻きでよろしくな」

「ちょっと、」


高坂は私の声も聞かずにリビングから出て行った。

‥なんつー勝手なやつ。わがままな子供か。生徒に飯作らすなんて、どういう神経してんのよ。


「うまいこと言いくるめられたな」

「あれをうまいなんて言っちゃダメでしょ」


ただの言い逃げだろ、あれは。


「兄貴も結構お前の飯気に入ってるんだよ。だから作ってほしいんだと思うよ。いいじゃん、食費かかんないんだし」

「あんたたちがかかるじゃん」

「んー、別にいいんじゃない?兄貴、そんなこと考えてないだろうし。迷惑だし嫌なら俺から言うけど、もしそうじゃないなら、夏休みの間だけでもこの家で晩ご飯作ってよ。そっちの方が俺としても助かるし」


そんな風に言われると、正直断れない。


「…あんたのほうがうまいこと言いくるめるね」

「ハハ、普段兄貴に言いくるめられてるからな。その影響かな」


なんて楽しそうに笑って時村は時計を見た。そんなに長居しているつもりはなかったんだけど、つられて見た時計は9時をさしていた。別に早く帰る理由もなかったけど、あんまり長居するのも悪い気がして、私は帰る準備をした。


「じゃあ、私もう帰るね」

「あ、送るよ」


時村は家の鍵と財布と携帯をポケットに突っ込むと、玄関に向かう私の後を追った。


「いいよ、別に。まだ9時だし」


9時なんて時間だと、誰に見られるかわかんないじゃんか。いくらこっち側に帰ってくる学生が少ないといったってゼロじゃないんだから。

断るのに必死。ほんともう、必死。


「や、送るって。危ないし」


今の私からしたら、隣にあんたが歩いてる方が危ないです。まずいです。非常事態です。だから折れてください。


「あ、帰るのか?」


リビングと向かいにある扉が開いて、髪の毛を濡らして色っぽくなった先生が顔だけを出した。目に毒ですね。違う意味での視界の暴力です。セクハラです。


「送ってくるわ」

「おー、そだな。いくら雪瀬っていっても女の子だもんなー」

「どういう意味だ」

「そのまんまの意味だ。雪瀬も一応は女の子だってこと」

「失礼な。私はれっきとした女だ」

「じゃあ俺に送られろ」


………あれ?

ナンカ、ハカラレタ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ