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君の隣を先約します。  作者: ゆきうさぎ
<第3章>
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友達は悪魔のようで魔女でした(3)

それから美弥と色々なことを話して、少しだけ勉強をして別れた。昼過ぎにケーキ屋さんに入ったのに、出るころには6時を過ぎていて、ちょっと他のお客さんに迷惑だったかななんて思ってしまった。美弥はどうやらこの店が気に入ったみたいで、まぁ気に入ったのがケーキか店員さんかはわかんないけど、明日も来るって意気込んで帰って行った。明日って言っているあたり、イケメンのバイト店員が目的なんだろうけど。本当にイケメン好きだなぁ。

そして、私はまだケーキ屋の前にいる。遠くなって見えなくなった美弥が行った方向を見てから、携帯で時間を確認する。今から晩ご飯の食材を買って料理してたら、食べるの結構遅くなっちゃうなんて考えていたら、後ろから扉が開く音がした。振り返ると、学生服に着替えた時村が出てきた。


「ごめん、待った?」

「別に。さっき美弥見送ったばっかりだから」


待った?なんて言われて出てこられたら、本当に付き合ってるカップルみたいじゃん。


「あ、これ」


時村から差し出されたのは、よくケーキが入れられている箱だった。それを首をかしげながら受け取ると、時村は「余ったから」と付け足した。どうやらこれは店で余ったケーキらしい。


「なんで」

「ん?オーナーがお友達にあげてくださいって。そのケーキとすごく迷ってたみたんなんでって。まぁどっちが迷ってたかは知らないからあれだけど」

「へぇ。すごいね、あの人。そんなところまで見てるんだ」


紳士的だけじゃないんだね。


「まぁ実際はそれを賄賂に晩飯作ってくれってことなんだけど」

「え、また?先生、家にいるんじゃないの?」


夏休みなんか入っちゃったら、教員なんてみんなひまでしょ!


「いるよ?いるけどさ、兄貴飯作りそうになんだもん」

「それ絶対作るの面倒なだけだから!することなんだからご飯くらい作りなさいよ!」

「それ俺じゃなくて兄貴に言ってよ」


時村は私の手をつかむと家までずるずると私を連れて行く。結局また来てしまった高坂家に上がるとコーヒーを飲みながらDVDを見る先生がいた。

うん、すっごいひまじゃん。


「おー、来たか雪瀬。待ってたぞ」

「別に待ってなくていいし」


ていうか、なんで私がここに来るって考えてんだよ。


「冷蔵庫にある程度揃ってるからなんか作ってよ」

「ある程度揃ってるなら自分で作れよ」


なんでそこまでしてキッチンに立てないんだ。どこぞのニートか、お前は。


「あのな、本来台所ってのは男性禁制なんだ」

「いつの時代の話だ」


このご時世、男女平等じゃ。


「女の人しか入れない、神聖な場所だったんだ」

「神聖な場所ってのは、どの教科書にも書いてないし」


誤った知識植え付けんじゃねぇ。


「てかそんなごたく並べる前に飯とっとと作りなよ」

「適材適所だ」


だから私を盛り込むな!


「雪瀬をこの家の給仕係に任命する!」

「だから私を盛り込むな!」


だいたい、


「私が給仕係なんかになったら先生は何するわけ」

「監督」

「ほざけ」


そんな役職あってたまるか。なにが監督だ。部活か。


「雪瀬ー、先生への口の聞き方がなってないぞー。敬語つかえ、けーごー」

「敬語ってのは敬ってる相手に使う言葉だから」

「なんつー捻くれた考え方。お前可愛くないってよく言われるだろ」

「そーだね、どっちかっていうと綺麗って言われることのが多いかな」

「そういうことじゃねぇよ」


知ってるよ。受け流してるだけじゃん。

私は苦笑しながら、キッチンに入る。冷蔵庫を覗くと、確かにある程度揃っているというだけあって、それなりに揃ってあった。ちらりと壁にかかる時計を見る。時計はすでに7時を回っている。


「こんだけ揃ってて自分でしないってどんだけ、」

「ゆとりだからな」

「あんたはな」


高坂はゆとり世代じゃないだろうが。むしろゆとり世代を教える側だろうが。

晩ご飯、ねばねば三昧にするぞ。


「あ、雪瀬、この前の模試の結果悪かったぞ」

「‥は?模試?」


冷蔵庫から卵を取り出す私にダイニングの椅子に座った高坂は言った。いったい何の話だと思いながらも、手はサクサクと晩ご飯の準備を続ける。


「そ、模試。しかも今回国語が悪いんだが。これは俺に対するあてつけか?」


高坂は私のクラスの現代文も古典も持っている。ついでに言うと、私は3年間、高坂に教えられてきている。そして安定していた国語の点数がここにきて落ちたらしい。知ったこっちゃないと言ってしまえばおかしいのだが、模試の点数なんて正直興味がないのだ。


「なに、そんなに悪かったの?」


普段着に着替えてきた時村は机に広がる私の模試の結果を見た。「ふうん」と薄い反応を示した時村は私をちらりと見た。


「お前って意外と頭良かったんだな」

「なに見直した?」

「そうは言ってねぇよ。うわ、本当に国語下がってる」

「えー‥そんなに下がってんの?」


そこまで言われるとちょっと気になるじゃんか。


「20点下がってる。お前この日なんかあったのか?」

「‥その模試いつの模試?」

「先々週の土曜日の模試」


…先々週‥。


「あ、」


先々週の土曜日と言えば‥。


「夜中にどうしてもかぼちゃプリンが食べたくなって、家で夜通しで作ってたんだ。で、眠たいのあったし、プリンが固まってるかも気になって‥模試どころじゃなかったんだっけ」

「‥馬鹿か」

「プリンは上出来だったよ?」

「模試の出来は悪かったけどな」


仕方ないじゃん。どうしてもかぼちゃのプリンが食べたくなったんだもん。

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