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super junk  作者: 高橋 隆
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第一話 そのお店の名は「super junk」

第一話


「悪いんだけど、明日から時給300円で交通費無しのアルバイトに行ってくれないかしら」

 僕は母さんからそれを聞いて驚いた。

 時給300円のアルバイトなど聞いたことが無い。

「それほとんどボランティアじゃないか!」

「それはそうなんだけど、あたしそのお店のご主人さんにいろいろ恩があるのよ。競馬の種銭……もとい、『生物の競争における分析学』というテーマの研究に多額の投資をした時も面倒見てくださったり。だから、社会勉強だと思って行ってみてくれないかしら」

「やだって言ったら?」

「殺す。毎日の料理包丁さばきの腕前を、まさか息子の体で試す日が来るなんてね。あたしたちは悲しい運命ディスティニーの家族集合体ね!」

「母さんが競馬にはまるのがいけないんじゃないか!」

「競馬じゃありません! 『生物の競争における分析学』!! とにかく、明日から行くのよ!」


 僕(高校2年生、山本武)は、こうしてアルバイトに行くことになった。

 


「はいイラッシャイ。あれ、新顔だね。売り? 買い?」

 僕はお店に入って、レジに立っているおじさんに言われた。

 大体40歳くらいの小柄なおじさん。純粋な日本人というよりは、中華料理のコックさんを彷彿とさせるようなアジア系的な雰囲気。

 このお店(店名:「super junk」)は、郊外の雑居ビル(7階建て)の5階にあった。

 建物はかなり古く、ところどころひびが入っている。

「あの、お母さんの紹介でアルバイトに来たんですけど」

「お母さんの紹介……? ああ、山本美恵子ちゃんネ! あのお母さんワタシのトモダチなんだけど、勝負事で勝つときは思い切り勝つし、負けるときも思い切り負けるから横で見てて気分よかったヨ!」

「……ひょっとして、お母さん、おじさんに借りてたお金とかあるんですか?」 

「最終的にお金は返してもらったよ。1000円で宝くじ10枚買って1等の1千万円当ててネ。あの人らしい豪快な返し方で度肝を抜かれたヨ。まあ、ワタシにキミを寄越してくれたのは、お金を融通してた回数が結構あったりしたからその恩返しということなのかもしれないネ」

 僕は、ものの数分で知らなかった母の過去の1面を知り驚く羽目になった。


 レジに立っていたおじさんはこのお店の店長さんで、名前を「トニー・呉・田中」といい、どこの国の人かは不明だった。

「美恵子ちゃんから話は聞いてるかもしれないけど、このお店はジャンク商品を扱うお店ヨ。まだ使えそうなものなら何でも買い取るネ。輪ゴム1本からマンションまで何でもOKヨ」

「マンション!?」

「不動産専門のトモダチ居るからオッケーね! ちょっとアブない系だけどね」

 何が具体的にアブないのかは聞かないことにした。


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