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ダン・ジョン  作者: つー
1/1

プロローグ・哀れな魔族

「兄上…貴方をこの国から追放する!」


「…はぁ?」


そう、突然告げられた。


俺はこの国の王子だった。

生まれた時から英才教育が施され常に国のことを考えて行動してきた。

周りからも次の国王は自分だろうと言われていた。

しかしその状況も3年ほど前に変わった。

母が病気で急死したのだ。

母が亡くなったことにより俺は国王の後継者としての立場が奪われた。

側近の女の息子…すなわち俺の義理の弟が国王の後継者となった。

その時点でかなり俺は苛立っていたのだがそれでもなんとか受け入れた。この国のルールだからだ。


そして時は経ち現在。

義理の弟が王になった瞬間追放宣言が俺に下された。


「いや、少し待ってください…。俺を…追放?なんの冗談でしょうか?」


「冗談ではない。俺は今お前に追放すると宣言したのだ。即刻立ち去れ。王の命令は絶対だ。」


「いや、確かにそうですけど…。本気で言ってます?」


「さっきからそう言ってるだろうが…はぁ…。早く立ち去れ。鬱陶しい。」


「…ちなみに追放した理由は?」


「鬱陶しい。」


「他は?」


「それだけだ。消えろ。」


「や、しかし…。」


すると突然自分の足元に魔法陣が浮かんだ。


「え。」


「【転移】」


「ちょまっ…。」


俺は飛ばされた。()()()に。


◇◆◇


そして今、俺は人間領の森で体育座りしてしょんぼりしている。

ちなみに読者の皆様には言い忘れていたが俺の国は魔物の国である。


そもそもこの星はクソでかい迷宮…いわゆるダンジョンが元となっている。

ダンジョンが初めにできた後、そのおまけとしてついてきたのが今俺たちが住んでいるこの地だ。その他の取り合いで長い間人間と魔物の戦争が続いていて今はちょうど二等分した状態にある。

イメージとしては迷宮が読者の皆様がお住まいの地球を貫いた迷宮と迷宮の周りを無視してすばーんと縦に切った感じで分かれている。


さて、本題に戻るが…。


「俺が…追放…。」


俺、何十年も国のために努力してきたんだけど…。

俺の今までの人生、ずっと国のために捧げてきたんだけど…。

確かにさぁ!国王が病死してトップが不在の時点で不安定だなぁ…って思ってたけどさぁ!そこでようやく義理の弟が国王になって安心だぁ…って思った矢先!

お前は追放だぁ!だぁ?

ふざけてんのか!!

俺が今までどれだけあの国に捧げてきたか…!


「とりあえず…歩こう…。」


歩いて気を紛らわそう…。ハハッ、あるくのたのしー。


◇◆◇


「隊長!街の前に大きな魔力反応を確認しました!」


「な、なんだこれは!とんでもなく強いぞ!勇者様!」


「これは…相対したことない僕ほど強いな…。敵の様子は?」


「はっ、えーとですね…。いや、えーと…。」


「どうした?早く言わんか。」


「いや、その…すんごいしょんぼりしてます。」


「「…はぁ?」」


◇◆◇


俺…これからどうやって生きていこうかな…。

国での立場がなくなって人間の街に住むなんてもってのほか。

そうだ!自然のあるところで生きよう!

もう魔族と会うこともなく静かに生きよう!

そうすれば安全に暮らせ…。


「止まれ!そこの魔族!」


「え…。」


あれ…人間だ。

ここって…あ、ボーッと歩いてたら人間の街に来ちゃったのか。

いや当たり前だな。

魔物の国と反対方向に真っ直ぐ歩いてきたんだから当たり前だ。


「それ以上入ってきたらこちらは戦わざるを得なくなる!ただ…。」


「ただ?」


「すごくしょんぼりしてるしそこで止まってくれるなら話を聞いてやらんでもない!」


「…え?」


あれ?

人間ってもしかしていい奴?

子供の頃から人間は悪魔だって教えられてあんたら種族として悪魔だろうがってツッコミ入れてきたけどもしかして全然悪魔じゃない?


「それで、何があったんだ!」


「…。」


話すか話さないか。

ここで魔物の国を捨てるか捨てないかが迫られているが…先に魔物の国(あっち)が捨てたんだ。こっちが捨てようがなーんも問題ない。


「…聞いてくれるか、人間。実はな…。」


それから、俺は今までどんなことがあってここにいるのかを話した。

すると人間はこっちを手招きしてきた。


「入っていいよ…。その翼隠したら。酒場でゆっくり聞くよ…。」


「うん…。」


それから俺は一気に酒を飲み飲んで飲みまくった。

そしてそのまま寝て朝になり、俺は改めて仲良くなった人間に自己紹介をした。


「俺はエレボスだ。ただのエレボス。お前は?」


「俺は勇者アテンだ。よろしく。」


「!勇者か!だからあの時1人で俺の対応ができたのか。」


「ああ、あの時ね…。騎士団の団長と傭兵隊の隊長との話し合いで君があんまりにもしょんぼりした顔してこっちに来るからとりあえずこちらに敵対意思がないことを確認して話し合ってみてはっていう結論に至ってね。」


「ええ…警戒しなさすぎじゃないか?」


「それは自分のしょんぼりしてた時の顔をみてから言って欲しい。なんかもう俺死にたいみたいな顔してたよ?」


「あ、そんなに…。」


昨日アテンに全部ぶつけたから多少は気持ちがさっぱりした。そのおかげか顔は昨日よりマシらしい。


「それで、エレはこれからどうするの?」


「エレ?」


「エレボスが読みにくいからエレって呼ぶことにした。嫌ならやめるけど。」


「いや、その方がいい。それで、俺のこれからだが…しばらく人間の街で身を潜めたいんだがダメか?」


「いやいや全然。むしろ大歓迎。」


「あ、いいんだ。じゃあ仕事探して暮らしていこうかな…。」


「それなら騎士団のお手伝いさんみたいなことしてくれないか?」


「お手伝いさん?」


「そうそう。それなら騎士団とかのみんなはエレの正体知ってるし楽なんじゃない?」


「具体的には何をするんだ?」


「まあ掃除とかかなぁ。」


「なるほど…。よし、それをやろう。」


「よっしゃ!じゃあこれからよろしく頼むよ。」


こうして俺は職につき、働き出した。

5年ほど働いて俺はふと自分は何をしたいのかを考え出すようになった。

別に国の王になりたいわけでもないし魔物の国に戻りたいわけでもない。ならば何がしたいのか。


俺はアテンのボロボロになりながらも笑顔で帰ってくる姿を見て気づいた。


「冒険だ…!」


冒険が俺はしたい。

1人でもいい。それでも強い敵を倒してお宝を集めて旅をする。

なんて楽しそうなんだ。


俺はこのことをアテンに相談した。

そしたら


「ダンジョンを攻略したら?」


それだ!と思った。

俺はダンジョンを攻略する準備を始めた。

ただダンジョンを攻略する上で1つ問題があった。

それが…。


「記録がない?」


「うん。このダンジョンに挑戦した人はみんな帰還してないみたいだ。そのせいであそこ、なんの情報もないんだよね…。」


「…長い攻略になりそうだな。」


「いかにエレといえど流石にあそこの攻略は何百年かかかるんじゃないかな。この長い日本史の数千年で一度たりとも攻略されてないからね。」


「そうか…。じゃあ未知との遭遇にも備えとかなきゃな。」


「ああ。」


そうして準備を開始して2ヶ月、俺は旅立つ準備が完了した。


「よし…。それじゃあ。アテン。ここで話すのが最後だと思うから。」


「そうだね。エレとは本当に仲良くなれた。2度と会えなくても親友だからな。」


「ああ!それとか騎士団長。」


「ああ。」


「短い…いや人間だと長いのか?まあでもその間、おせわになりました。」


「ああ。元気にやれよ。それから死ぬな。」


「はい!それと隊長。」


「なんだ!」


「貴方と飲む酒はうまかったです!ありがとうございました!」


「ハハハッ!一昨日最後に飲めてよかったぜ!死ぬんじゃねぇぞ!」


「はい!それと騎士団と傭兵隊のみんなも今までありがとうな!」


「おう!」


「死ぬんじゃねぇぞ!」


「元気でな!」


「…それじゃ、行くよ。」


「ああ。歴史に名を残す魔族になることを願ってるよ。」


「ああ。」


そう言って俺は歩き出す。

明るい朝日が新たな冒険を迎えてくれた。

皆様はじめまして!

自分は「つー」と申します!

まずはこの小説を読んでいただきありがとうございます。この小説の1話は書きダメを全く作らずに書き出したものなので次回投稿までに時間が空くかもしれません!

1話から申し訳ないのですが少しの間お待ちしていて欲しいです!その上でこの作品の感想などを聞かせて欲しいです!よろしくお願いします!

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