うなぎちゃんとカチューシャ15
その煙を私と文花ちゃんは振り払い、粘液の塊へと向かって走り続ける。
シュシュシュッ!
鰻触手が私と文花ちゃんに向かって襲いかかる。
「ここは私が!」
文花ちゃんが足を止めて構える。
「長縄流縄術 縛式 大蛇 」
そう言って何本もの縄を鰻触手に向かって投げる。
シュルルルルルッッ!
投げられた縄はまるで蛇の様にうねり、鰻触手へと絡み付く。
ギリギリィッ!
そのまま縛り上げ、鰻触手の動きが止まる。
タッ!
動きの止まった鰻触手を掻い潜り、粘液の塊の懐へと私は向かう。
「いっけぇぇぇえ!」
爆弾おにぎりを防いでくれた嬢子ちゃんが叫ぶ。
「みうなちゃん!」
鰻触手を止めてくれた文花ちゃんが叫ぶ。
「ヒロちゃん!今助けるからっ!」
私は飛び上がり粘液の塊に向かって構える。
ヒロちゃんが言っていたのか、かつて見た剣術の記憶なのかはわからないが、構えた刀と体が自然と動く。
「伊吹鰻滝流剣術 」
「腹開き !」
ズバァァァアアァァッ!
素早い斬撃により、腹を開かれる粘液の塊。
粘液の塊内部に囚われていたヒロちゃんが飛び出す。
「ヒロちゃぁん!」
素早く納刀し、粘液から飛び出して来たヒロちゃんをお姫様抱っこの様に抱える。
ズサァァアアッ
私はヒロちゃんを抱えたまま優しく着地した。
「……ジェジェジェ」
素早く振り向くと腹を裂かれた粘液の塊が、静かに唸っている。
その中にはまだ取り残されているうな重の姿が見える。
「あとはうな重を助けないと!」
そう思った瞬間、粘液の塊の陰に誰かがいた。
シュタッ!
「貴女達、素晴らしいわね」
そう言って粘液の塊に攻撃を仕掛けようとしていたのは、うな重の教育係の陸天摩夜 さんだった。
「あとは任せなさい!」
結界の強化を終え、ヒロちゃんを助け出した事で攻撃に転じた摩夜さんは手に持った短鞭を構えた。
「姫様……、教鞭です!」
ズバァァァアアァァッ!
摩夜さんが振り下ろした教鞭が、凄まじい衝撃と轟音を発生させて粘液の塊を引き裂いた。
「……」
衝撃によって発生した土煙が辺りを包んでいたが、やがて晴れる。
そこに粘液の塊は跡形もなく、摩夜さんがうな重を手に持って立って居た。




