うなぎちゃんとカチューシャ13
「みうなちゃん!」
文花ちゃんが叫ぶ!
文花ちゃんと嬢子ちゃんを掻い潜り、鰻触手が私に向かって来た!
ズガァアァァァアン!
衝撃と土煙が舞い、辺りを包む。
「……」
「あれ、なんともない……?」
私は反射的に瞑った目をゆっくりと開く。
ドサァッ
「ぇっ!?」
文花ちゃんが驚いて見た先には、綺麗に切断された鰻触手が落ちていた。
目を開いて前を見た私が見たものは、
「!?」
私?
鰻木みうながもう一人目の前に居る?
目の前に居るもう一人の私が刀を持ち、鰻触手を綺麗に一刀両断していた。
いや、よく見ると和服を片肌脱ぎで着ていてまるで
「侍?」
そこまで口に出して私は気付く。
……あの雨の日、ヒロちゃんと一緒の傘に入って帰った日、
うな重が覚えたての変化で傘になって、ヒロちゃんがボソッと話していたあの
「鰻侍!?」
振り向いたもう一人の私、触手を斬って守ってくれたもう一人の私はその時の話の侍だった。
「これは……、ヒロちゃんの想い?」
さっき摩夜さんが言っていた、ヒロちゃんの想いが具現化しているって。
私を守ってくれたもう一人の私、鰻侍はヒロちゃんの想いなんだ。
「そうか……、またヒロちゃんに守られちゃったんだね」
そう言って私は少し哀しげな顔をした。
「……」
「……違うでござるよ」
もう一人の私、鰻侍が喋った。
「え……?」
私は鰻侍を見つめる。
「確かに拙者は最初、ヒロ殿の想いから生まれたのやもしれぬが」
「今、ここにいる拙者は貴殿と想いを共にしているでござるよ」
そう言って鰻侍は私、鰻木みうなにそっと手を差しのべる。
私と同じ想い?私の想いは……、
「ヒロ殿を助けたいのであろう?」
鰻侍は私を見つめて問いかける。
何も悩んだり疑問に思う必要なんかない、私の想いは一つだ。
「……うん!」
私はそう返事し、差し出された手を掴む。
「さぁ、共に行こうぞ」
鰻侍も私の手を握り返しそう言った。
パァァァァア!!!
鰻侍と私が眩しい光に包まれる。
「みうなちゃん!?」
文花ちゃんと嬢子ちゃんが土煙の中、ぼんやり見える私に向かって叫ぶ。
やがて土煙が晴れるとそこには刀を持ち、服はそのままTシャツにスカートで羽織を着た私、鰻木みうなが立って居た。
「……トクホ、……タベル!」
鰻の粘液の塊が呟いたかと思うと、何本もの鰻触手が私に向かって襲いかかる。
「……」
私は静かに刀を構え、
シュパァァァン!
襲いかかって来た何本もの鰻触手が、一瞬にして斬り飛ばされた。




