うなぎちゃんとカチューシャ10
目の前にある大きな粘液の塊。
見たところ高さは古墳休憩スペースの屋根まである。
ざっと5メートルぐらいはありそうだ。
「あれは……ムチン」
私はその粘液を見て呟く。
「!?」
そしてその粘液の中に薄っすら見えるモノに驚愕した。
「ヒロちゃんとうな重!?」
そう、その巨大な粘液の中に先程衝突した二人?が閉じ込められているのである。
「呪詛返しの影響で倍増した姫様の負の想いに、二人共取り込まれてしまった感じね」
摩夜さんは冷静に分析しつつも、声には焦りが感じ取れる。
「ヒロちゃんは、二人共大丈夫なの?」
狼狽しているのが自分でもわかるぐらいの声で私は、摩夜さんに問いかける。
「このままだと、不味いわね……」
「二人共、呪いにやられてしまうわ」
摩夜さんはそう言って眼鏡に手をかける。
するとその粘液の塊がウネウネと動き始めた。
「何か来るわ!」
嬢子ちゃんが危険を感じ取り叫んだ。
すると粘液の塊から鰻の様に細長く、触手なのか尻尾なのか分からないモノが生えてそのまま私達に襲いかかる。
ヒュルっ!
ズガァァァアン
その鰻触手は私に向かって飛んで来ていた。
間一髪の所で摩夜さんが手に持った短鞭で、弾き飛ばしていた。
私に向かって来たモノ以外にも、鰻触手は生えていて合計4本程となっていた。
ヒュルル!
ズガァァァアン
その他の3本は上や左右などに伸ばして見えない壁らしき物を叩いている。
文花ちゃんがその様子を見て叫ぶ。
「結界を破る気なの!?」
摩夜さんは叩かれ揺れる結界を見上げ呟く。
「簡易的に張った結界では防ぎきれないわね」
「結界術とかは余り得意では無いのだけれど、やるしか無いわね」
そう言って摩夜さんは両手で印を組んだ。
「私はこの粘液鰻を外に出さない様に結界を強化するわ」
摩夜さんは文花ちゃんと嬢子ちゃんの方を向く。
「あなた達、退魔師資格を持っているって言っていたわね」
「申し訳ないけど手伝ってくれないかしら」
その言葉に嬢子ちゃんは何かを察して口を開く。
「あの悪霊鰻を退治するのね!任せて!」
「いや、ひいろちゃんも中に閉じ込められているし」
「無茶な大技で巻き込んだら大変な事になるよ」
文花ちゃんがすかさず制止する。
「閉じ込められたあの子を助けられば一番なんだけれど、出来なければなるべく時間を稼いで欲しいわ」
「それに何故かみうなさんを狙っている様子も伺える、気をつけて」
摩夜さんが粘液鰻を見ながら話す。
「摩夜さんは?」
粘液の中のヒロちゃんを心配しつつ私が質問すると、
「私は結界の強化が済んだら呪いの解呪に移るわ」
そう言って何かを念じ始めた。
「じゃあ文花、特級悪霊を退治した私達の実力を見せてあげましょう!」
嬢子ちゃんが自信満々に叫ぶ。
「嬢子ちゃん油断して呪われないでね」
文花ちゃんは少々心配そうに話した。




