うなぎちゃんとカチューシャ8
「姫様このままだと、逮捕されますよ」
「ぇ、なんでだじぇ!」
「ワシは何も悪い事していないじぇ!」
逮捕というワードに驚くうな重。
「結構わりと色々していると思うが」
私がボソリと呟く。
それにつられて嬢子ちゃんも頷いているようだ。
「うな重逮捕されちゃうの!?」
みうなはちゃんと心配しているようだ。
うん、みうなは優しくてカワイイなぁ。
「姫様、人間界に来る時に手続きはしましたか?」
眼鏡を直しながら、摩夜さんが質問する。
「手続き?ってなんじゃ?」
うな重がいつものとぼけた顔で聞き返す。
「人間界でも外国に行く場合は、パスポートやビザなどの手続きをして行くものです」
「ましてや神が人間界に降臨するなど、様々な手続きが必要となって来るのですよ」
摩夜さんが詳しく説明してくれているが、眼鏡の奥からはじんわり怒っている感じがする。
「て、手続きしないとどうなるのじゃ?」
うな重が心配しながら摩夜さんに質問する。
「当然不法入国、不法滞在で逮捕や勾留されます」
「そして懲役、罰金等の刑が科される事になりますね」
静かなトーンで摩夜さんは説明をする。
「じぇじぇじぇ!ワシ、逮捕されちゃうのかじぇ!?」
ようやく実感が湧いて来たようで、酷く狼狽 するうな重。
「まぁ、私の機転でとりあえず観光ビザを発行しておきましたが」
摩夜さんが説明を続けるもうな重は激しく動揺している様で、話を聞いていない。
「嫌だじぇ!逮捕もお勉強も嫌だじぇ!」
摩夜さんにカチューシャを掴まれながらも暴れ始めるうな重。
「ひ、姫様、はしたないですよ落ち着きなさい」
暴れるうな重を摩夜さんは抑えようとするが、もがくうな重。
まぁ、抑えようとしても鰻なので手がヌルヌルになるだけなのだが。
私(西尾一色 )はその光景を見てうな重からカチューシャを外そうとした事を思い出す。
「姫様がカチューシャにくっついていて離れない?」
眼鏡の奥に動揺が見て取れる。
すると摩夜さんが何かに気付く。
「このカチューシャ……呪具?」
掴んでいたカチューシャから何かを感じ取る。
「このカチューシャ、込められている願いか想いが呪詛の様になっている?」
「……この怨念じみた想いが呪具となっていて姫様の感情を増幅させているのね、なるほど」
摩夜さんが、かつて真相を解き明かしたヒロちゃんみたいなしたり顔をする。
「しかもこの呪具の念のせいで姫様の[[rb:神力 > しんりき]]が検知出来なかった様ですね」
「ならば!」
「解呪してあげます!」
カチューシャを掴まれたまま暴れているうな重、その反対側の手で摩夜さんは印を組んだ。




