うなぎちゃんとカチューシャ3
「あ~、何か面白い事無いかしら」
「ねぇ文花」
嬢子ちゃんが、テーブルに突っ伏してうなだれている。
「夏休みの課題でもすればいいんじゃない」
文花ちゃんが素っ気なく話す。
「今日の分はもう終わったからヒマなのよ!」
「最近ハラインから悪霊退治の依頼も無いし~」
嬢子ちゃんにしては珍しく気の抜けた返事を返す。
そんな嬢子ちゃんがうなだれているテーブル。
そのテーブルは特徴的な形をしている。
円形と台形をくっつけた様な形状。
前方後円墳である。
「文花は何しているの?」
嬢子ちゃんが文花ちゃんに聞くと
「展示物の掃除と資料の片付けよ」
文花ちゃんは答えながら手を動かしている。
ここは公園内にある古墳休憩スペース。
この公園内には古墳があり、そこから出土した物などのレプリカや資料が展示されている資料館と休憩所が併設されているのである。
「家の手伝いなんて、ホント文花は偉いわね」
嬢子ちゃんはそう言いながら文花ちゃんを見つめる。
「半分趣味みたいなものだけどね」
微笑みながら文花ちゃんはハニーを撫でている。
公園の敷地内には神社があり、文花ちゃんはそこの娘で巫女さんをしている。
この古墳休憩スペースは同じ公園の敷地内ということもあり神社が管理しているのだが、文花ちゃんはその管理の手伝いを時折しているのである。
「ほら、カワイイでしょハニー」
文花ちゃんは撫でている埴輪を嬢子ちゃんに見せる。
縄文〜古墳時代が好きな文花ちゃんにはうってつけのお手伝いなのであろう。
「そうね」
嬢子ちゃんは埴輪を撫でて微笑んでいる文花ちゃんを見なが笑顔で答えた。
「まぁ、ハラインからの悪霊退治依頼が無いってことは平和でイイじゃない」
文花ちゃんがそう話すと、撫でられていたハニーはいつもの定位置である文花ちゃんの肩に乗っかる。
「きっとこの間退治した特級悪霊の噂が広まって、私達に恐れをなして悪霊達も大人しくしているのね」
嬢子ちゃんはドヤ顔でニヤつく。
嬢子ちゃんと文花ちゃんは、3級資格を持っている退魔師なのだ。
「特級といってもモドキというか、なんちゃって特級だったけれどね」
文花ちゃんはそうめんの思い出を語る。
「特級は特級よ、間違いないわ」
そんな会話をしていると、誰かが古墳休憩スペースに入って来る。
「じぇじぇじぇ〜」
カチューシャを足みたいに動かし、大慌てで入って来たのはうな重だった。




