ナガヨシスーパーランド1
エピソード9:ナガヨシスーパーランド
ジリジリ
照りつける陽射しが強くなる季節がやって来た。
夏休みが近いので今日は授業が短く、下校の時間が早い。
その為、頭上にある太陽が照りつけてくる。
「……暑い」
隣を見ると、この暑さでも飛び跳ねるように歩くみうな。
「暑いね~、ヒロちゃん」
元気に歩いていても暑さは感じるようだ。
「ちょっとあそこで休むというか涼もう」
私はそう言って喫茶店を指さす。
「そだね~、行こうヒロちゃん」
ちょっぴり汗の滲んだみうなが元気に微笑む。
カランカラン
私とみうなが喫茶店に入ると、涼やかな空気が頬を撫でた。
「ふぁ~」
心地よい冷気に心奪われそうになる、するとカウンターの方から
「いらっしゃい」
大人びた静かな声で声をかけられた。
容姿端麗でもの静か、黒の長髪が美しいここの店長?マスターである。
店名とその風貌からか、皆からは魔女さんと呼ばれている綺麗な女性だ。
そう、ここは商店街にある老舗喫茶店「魔女の森」
私とみうなは奥にあるテーブル席に座る。
「何飲もうかな~」
みうなが楽しそうにメニューを眺めていると、先程の魔女さんがオーダーを取りに来た。
みうなはひとしきり悩んだあと注文する。
「握りつぶしたみかん」
私も続けて注文する。
「腐った葉っぱの煮汁、冷たいので」
魔女さんが注文を受けてカウンターの奥へと戻る。
……この魔女の森、メニュー名が独特なのである。
味は間違いないのだが、そのメニュー名が独特なせいか初見のお客は必ず戸惑うのである。
私達の様な常連組は普通に注文するが、まぁ初めてこのメニューを見たらビックリするだろう。
そうこうしているうちに注文した物が来る。
「はい、どうぞ。ごゆっくり」
そう言って魔女さんが、みうなと私の前に置いた。
みうなの注文した【握りつぶしたみかん】は、丸絞りオレンジジュース。
私の注文した【腐った葉っぱの煮汁、冷たいもの】は、アイスティーである。
そして、ドリンクには【鳩が喰らった豆鉄砲】
が付いてくる。
あ、豆菓子のことである。
みうながストローを咥え、美味しそうに【握りつぶしたみかん】を飲んでいる。
「ぷふぁ~、おいしいねぇ」
満面の笑みを浮かべるみうなを私は満足そうに見つめる。
すると、みうなの上から声がする。
「ワシも喉がカラカラなのじゃ!」
そう、みうなの頭の上、正確にはカチューシャには喋る鰻がくっついているのだ。




