ハライン17
「と、いう感じで悪霊は退治したんだけれど」
「嬢子ちゃんが呪われちゃって」
梅雨も終わりかけで、だんだん日差しが強くなってきている学校の屋上。
そこで文花ちゃんが、わりと凄い発言をしている。
文花ちゃんに誘われて、昼食を校舎の屋上で流しそうめんを食べることになったみうなと私(西尾ひいろ)。
「呪いって、大丈夫なの?」
先程の【呪い】という爆弾発言に心配する私。
「あれを見て」
文花ちゃんは流しそうめんを食べている嬢子ちゃんを指差す。
一緒に楽しく流しそうめんを食べているみうなの横で、嬢子ちゃんは……、
フーフー
熱くもない流しそうめんに息を吹きかけている。
「ぁあーっ、もうっ!またやっちゃった」
叫ぶ嬢子ちゃんを指差し文花ちゃんが口を開く。
「あれが呪いよ」
「はぁ?」
私は理解が追いつかず変な返しをしてしまった。
「熱くもない物を不意にフーフーしてしまう」
「あれが嬢子ちゃんの受けた呪い」
私の変な返しにも動じず丁寧に説明してくれる文花ちゃん。
「……そ、それは大変な呪い?だねぇ」
私も平静を装い返事を返す。
「その呪いって解けるの?」
文花ちゃんは麺つゆの入った容器と箸を私に渡しながら
「大丈夫、悪霊の心残りが晴れれば解けるの」
麺つゆと箸を受け取りながら
「心残りって?」
文花ちゃんも麺つゆと箸を持ち微笑みながら
「本格的な夏が来る前に、みんなで楽しく流しそうめん食べて欲しいんだって(倉庫に残っていたそうめんを全部)」
そう言って流しそうめんに参加する。
「なるほど」
まぁ、細かい事はよくわからないけれど、みんなで楽しく流しそうめん祭りってことかな。
そう受け取った私も流しそうめんに参加する。
チュルチュル
「ぁ、美味しっ」
細いのにコシがあって喉越しがすごくいい。
「特級なのよ!」
先程までフーフーしていた嬢子ちゃんが自信満々に説明する。
「でも食べ過ぎなのかちょっとばかりマンネリかも」
そんな嬢子ちゃんに隣で食べていたみうなが叫ぶ。
「そんな時はこれだよ!」
懐から出てきたのは……
My蒲焼のタレ!
麺つゆの入っていない新しい容器に蒲焼のタレを入れて嬢子ちゃんに手渡す。
不思議な顔をして受け取る嬢子ちゃんに向かって一言。
「大丈夫!美味しいよ!」
親指を立ててドヤ顔でウインクするみうな。
蒲焼のタレの入った容器にすくったそうめんを入れてまぜそばみたいに混ぜる。
チュル
「・・・おいしいわ」
驚愕の顔をする嬢子ちゃん横で嬢子ちゃんに負けず劣らずドヤ顔をするみうな。
そんなみうなを照らす日差しが強さを増し、まもなく本格的な夏が始まろうとしていた。




