ハライン11
「と、特級!?」
「どういうこと?低級依頼でなんで特級の悪霊が出てくるのよ?」
「っていうか、悪霊のランクって帯の色で決まるんだったっけ?」
文花に向かって捲し立てるように話す嬢子ちゃん。
すると文花は静かに答えた。
「帯の色で等級がわかるのは、そうめんね」
「赤い帯が上級で、黒い帯が特級」
「???」
その返答に嬢子ちゃんが再び目を丸くする。
そんな嬢子ちゃんをよそに文花は話を続けた。
「さっきの事務所のあったログハウス、そこを調べていたら奥の倉庫で見つけたのがこれなの」
そう言って先程の赤い帯を差し出した。
「それは小さな悪霊が着けていたやつでしょ?」
「何故それが倉庫に?」
嬢子ちゃんが問いかけると、
「倉庫にあったのはそうめんよ」
「ダンボールに入った大量のそうめんがあったの」
文花の言葉に嬢子ちゃんはイマイチ状況を理解できずに問い返す。
「悪霊と何の関係が?」
すると文花は目の前の悪霊を指差して
「あれは恐らく……、そうめんの悪霊よ」
嬢子ちゃんは文花と悪霊を何度も見返し、口を開く。
「ぇえ?どういうこと?」
文花は再び説明を始める。
「このキャンプ場、流しそうめんを目玉にしていて、事務所にあったパンフレットにも書いてあったの」
「ハラインでの去年まで賑わっていたって情報には続きがあって、去年世界的に流行した感染症か不景気かはわからないけれど実は客足が減っていたの」
「そこで客足回復の為にさらなるイベントを計画していて」
ほうほうと、嬢子ちゃんが頷く。
「そのイベントというのが、普段は使わない特級を使った流しそうめんだったの」
「でも想定よりも客足が伸びずに、使われるはずだったそうめんが大量に余って倉庫に眠ることになったってわけ」
文花の説明に嬢子ちゃんが質問する。
「そうめんの経緯は分かったけど、何故に悪霊に?」
文花は目の前の悪霊を見ながら説明を続けた。
「去年使われるはずだったそうめんの想いが、心残りとなって悪霊と化してしまった……という所かしら」
嬢子ちゃんはなんとなく納得した感じで再び悪霊の方を見る。
「だいたいわかったわ、特級ってのはそうめんのランクで悪霊の事ではないのね」
その言葉を制するように文花が口を開く。
「そう簡単でもなさそうなの」
「嬢子ちゃん、呪いや悪霊って想いの強さが影響するのは知っているよね」
その問いに嬢子ちゃんは即答する。
「当然よ!強い想いが呪いや悪霊を産むけれど、私達のエクソシストパワーも想いが強いほど、より強くなるんだから」
私はエクソシストじゃないけど、という顔をしながら文花がそれに答える。
「だからあのそうめんの悪霊は自分が特級だと思っているの」
「なんちゃって特級、いうなれば特級モドキと言った所かしら」




