ハライン6
軽く頬を撫でるそよ風が気持ちいい。
文花を事務所に残したまま外に出た嬢子ちゃんは、ログハウスの周辺を見廻っていた。
「うーん、何かが"居る"気はするんだけどよくわからないわねぇ」
嬢子ちゃんは訝しげな顔をして森の方を睨みつける。
「ジョー君はどう?わかりそう?」
嬢子ちゃんはアイマスク型のジョー君に語りかける。
「う〜ん、何か居そうな感じだけどよくわからないじょー」
ジョー君が嬢子ちゃんと、同じようなことを言う。
「こういう地味な悪霊探しより、ズバーッと現れてバババッと退治したいわ!もぉ〜っ」
そう言いながら手を大きく振り回しながら、退治のイメージトレーニングなのかカッコよく決めポーズを取る。
サワサワ
嬢子ちゃんの叫びは、静まり返った森の中に消えて行った。
「仕方ないわね、一度文花の所に戻ろっと……」
嬢子ちゃんが振り返り、歩を進めようとした時、
ムニュり
「うへぁっ!」
何かを踏んだ感触でビックリし、数歩後退りする嬢子ちゃん。
自分が何を踏んだのか、目を丸くしてその場所を凝視する。
ミミズ?
「いや、ミミズにしては白い?」
足元にはミミズのようだが、白く長いなにかしらが居る。
長さは20センチ程で、太さは1~2センチ?ミミズというには大きい、
かといって蛇にしては短かすぎる。
嬢子ちゃんは何の生物?と思いつつ、目を凝らして見てみる。
すると、
頭らしき所からギョロりと見つめる瞳に、一瞬ドキッとしたと同時に素早く後退りした。
先程とはうって変わり、嬢子ちゃんは険しい表情をして構える。
それは何故か、
その怪しげな白いミミズか蛇かはたまた芋虫か、それらのどれでもないモノ。
その単眼、一つ目の瞳がこちらを見ていたからである。
嬢子ちゃんは、そのモノを見て微かに微笑む。
「ようやく現れたわね!悪霊!」
そう言って嬉しさから溢れる笑みを堪えながらそのモノに向かって指を差す。
「思っていたより低級霊ね、全然気が付かなかったわ」
「まぁ、この程度なら文花を呼ぶまでもないわね」
嬢子ちゃんは右手を横に突き出し、何かを呟く。
「ジョー君を媒介に、私の祓魔力を重ねてドリルを練り上げる!」
すると嬢子ちゃんの右手に、黒いモヤの様なものが集まり出した。
徐々に形作っていくモヤはやがて、三角コーン程の大きさのドリルへと変化した。
「さぁ、希代の天才祓魔士土御門嬢子のお出ましよ!」
「悪い悪霊は私が祓ってあげるわ!」
右手に出来たドリルを悪霊に向かって突き出し、嬢子ちゃんは叫んだ。




