うなぶれら3
「そんな女子高生が三度傘で歩いていたらそれこそ目立ってしょうがないよ!」
私は妄想したみうなの侍姿を振り払い、突っ込みを入れた。
「ぅ~む、じゃあこれでどうじゃ?」
うな重はそう言って再び唸り始めた。
「うぬぬぬ~っ」
うな重の傘部分が変化していく、うにうにと。
そうして変わったのは……、
浪人傘!
頭がすっぽり入って目の部分にスリットがあり
顔を隠して歩けるやつだ!
「いやいや、そんな傘被ってどうするの!?」
「辻斬りでもしそうで怖いって!」
私は再度突っ込みを入れる。
「ぁ~、辻斬りはちょっとダメかなぁ」
みうなも流石にそう言ってくれて安心した。
「うぬぬぬ~」
またまたうな重が唸ると、形がまた変化した。
今度は……、
市女傘!
平安時代のお姫様とかが市中を出歩くときに被る、レースつきのやつ!
みうながお姫様……、ちょっぴり妄想してイイかも、と思ってしまった。
が、「いやいや、平安時代かよっ!」
と思わず突っ込んでしまった。
「今の時代は色々と面倒臭いのぉ」
そう愚痴を言いながら、うな重は元のカチューシャ形状へと戻った。
「ぅ~ん、じゃあ雨はどうしよう」
みうなが黒く広がる雨雲を見上げて呟く。
すかさず私は手に持った傘を前に出し、
「ぇと、私傘持っているから」
「えと、あの」
肝心な事を言いよどんでいると、みうなから
「ぁ、ヒロちゃん傘持って来ていたんだ、さすが~」
「じゃあ、ヒロちゃんの傘に入れて貰ってもいいかなぁ?」
と私のやりたかった事を言ってくれた。
「ぁ、うん。一緒に入って帰ろ」
少々照れながら私は迷わず返事を返した。
「うん、ありがとぅヒロちゃん」
そう言って笑うみうなの顔は、雨雲で黒く淀んだ空でも輝いて見えた。
ヒョイ
「ワシは変化でムチン残量が減ってしまったので、雨で補充して帰るじぇ」
うな重はそう言って、みうなの頭から降りてヒョコヒョコ歩き始める。
それを見てみうなが
「そっか、うな重は濡れて帰った方がいいのか~」
納得したような顔でうな重を見る。
私は手に持った傘を開くと、みうなの方へ近づいた。
「よし、じゃあ帰りますか」
私がそう言うと、みうなが笑顔で返事する。
「うん」
みうなが私の傘に入って来て肩を寄せ合う。
計画通りなのだが、ちょっぴり恥ずかしい。
それを知ってか知らずか、みうなが
「てへっ、相合い傘だねっ」
その笑顔を見て自分でもわかるぐらい顔を赤らめて動揺しながら返事する。
「ぁ、うん。そうだね……」
シトシトと雨が降る中、至福の時をみうなと一緒に過ごしながら私は帰った。




