うなぶれら1
エピソード7:うなぶれら
教室の窓から空を見上げると、厚い雲が覆い始めている。
今日は午後から雨が降ると朝の天気予報で言っていた。
お昼も過ぎて5時限目の予鈴が鳴る。
キーンコーン、カーンコーン。
天気予報の通り空を覆う雲は黒さを増し、やがてポツリポツリと小さな雨粒が窓を濡らし始める。
小雨だった雨足も授業が終わる頃には、しっかりと本降りとなりつつあった。
帰り支度をしているとみうなが話しかけてくる。
「雨、本格的に降ってきちゃったね」
「だねぇ」
普通に返事を返すが、私はみうなの心配そうな顔を横目に少々ニヤケている。
朝の登校時には青空が広がり、雨の気配も無いほどの快晴だった。
そのせいか、そのおかげか、みうなは傘を準備していなかった。
私はと言うと、しっかり天気予報をチェックしており雨雲レーダーから雨の降る時刻や範囲まで確認済みである。
なのにその情報をみうなには伝えていない。
さらに、ここまで雨が降るという情報を手にしておきながら、
みうなと一緒に来た朝の登校時、私は傘を持っていなかった。
それなのに今私の手元には傘がしっかりと握られている。
何故かというと、今日の午後から雨が降るという情報を前日から手にいれていた私は、昨日の内に傘を持参し置き傘をしておいたのである。
そうすることで今日の朝、みうなと登校する際に手ぶらで学校に来ることが出来たのだ。
こんなに手の込んだ事をするには理由がある。
……私には計画があるのだ。
その計画というのは……
「みうなと一緒に相合い傘で下校計画!」
みうなは天然の様で割としっかりしている。
私が朝傘を持って登校していたらきっと雨が降る事に勘づいてしまう恐れがあった。
そうなると私の「みうなと一緒に相合い傘で下校計画」に支障が出る。
みうなは、心配そうな顔で空を覆う黒い雲を見上げている。
やがて降りしきる雨を見上げながらみうなが口を開いた。
「傘持ってきていないや、どうしようかなぁ~」
予定通りみうなが傘が無くて困っている。
ここまでは私の計画通りに事が運んでいて、後はみうなに私が傘を持っていることを告げるだけであったのだが……
思わぬ所から予想外の話が飛び出してきた。
「ワシの変化で傘になれるじぇ」
そう喋ったのは、みうなの頭の上にあるカチューシャうなぎである。




