うなさんぽ5
「しかしハニーは散歩慣れしているんだじぇ」
「この周辺なら良く出歩いていますから」
「そういえば、さっきの眩しい光はなんだじぇ」
先程三毛猫に襲われそうになったときに、ハニーが放った光の事である。
「あれは ……」、「神通力を使った簡単な目眩ましです 」
「文花さんが言うには、ハニーふらっしゅ?とかなんとか 」
「ほうほう」
うな重が興味深そうに頷き、話を続ける。
「ワシも本来の力が使えたらあんな野良猫、コテンパンにしてやったのじゃ」
悔しそうな表情?でうな重は語る。
「そうじゃ、ハニー」
何かを思い付き、うな重はハニーを見る。
「なんでしょう、うな重殿 」
「ワシも神通力なら結構達者なのじゃ、なので特訓に付き合ってくれないかだじょ」
ハニーは少々考えた後、答えた。
「わかりました」
「ありがとうなのじゃ」
「ワシはお勉強は苦手だが、こういうことなら結構得意なのじゃ」
そう言って、うな重は公園の広場へと駆け出していく。
その後をハニーが追いかけていった。
暫くして空が赤く染まり始める頃、
「そろそろ晩御飯の時間が近いけれど、まだ帰って来ないね」
勉強が一段落して、みうなが口を開いた。
「へー」
私は少々興味無さそうに相槌を打つ。が、みうなが心配そうな顔で玄関の方を眺めるのを見て
「ちょっと様子でも見に行きますか」
私はみうなに声を掛けた。
「うん、そうだねヒロちゃん」
みうなはちょっぴり嬉しそうに返事を返した。
二人で玄関前に出て辺りを見渡す。
「うな重、どこまでお散歩行ったのかな~」
みうなが手を水平にしておでこに当てるレトロスタイルな見渡し方をしている所がまたカワイイ。
「ぁ」
みうなが声を上げる。
私もみうなが見つめる先を見てみると、小さくてうねうねしたアレが見えてきた。
みうなは、だんだん近づいてくる歩くカチューシャに向かって大きく手を振る。
「おかえりぃ~うな重」
「ただいまなのじゃ~」
少々疲れた感じのあるうな重が返事を返した。
「おかえり~」
一応私も軽く手を振りながら迎える。
そんな会話をしている二人と一匹を遠くから見送っているハニーが手を振る。
「またなのじゃ、ハニー」
「そっか、ハニーと遊んでいたんだね」
みうながそう答えてハニーに手を振った。
「ありがとね~、ハニー」
ぐぅ~
「お腹空いたのじゃ~」
「今日の晩御飯はミートボールだよ」
例の赤いミートボール事件が未だに脳裏に残っているのか、みうなの一言にうな重が一瞬ピクッとする。
「ミ、ミートボールぅなのかじぇ」
「大丈夫、うな重の好きな蒲焼きのタレをかけたミートボールだから」
「ぉお~、美味しそうなのじゃ」
「ヒロちゃんも一緒に食べていくよね~」
そう言われて私は微笑みながら頷いた。
うな重のお散歩が無事に終わり、ハニーもおうちに戻り
「ハニー 」
と言うと、机に向かい勉強をしていた少女が笑顔で振り向く
「おかえり、ハニー」
空の夕焼けが、だんだん夜の色へと変わりつつあった。




