うなさんぽ3
「あれは……美味しい泥水のお店の魔女さん、だったかじぇ」
「見えてると言うか、普通に話し掛けられてドキッとしたじぇ」
そう思いながら魔女の森を通り過ぎようとしたら、お店の前に居た黒猫がうな重をチラッと見て
プイッ
なんだか興味無さそうにトコトコと歩いて去って行った。
うな重はそれを気にした様子もなく
「しかし、魔女さんの泥水は美味しかったのぉ~」
泥水というメニュー名のタピオカミルクティーの味を思い出してご機嫌に歩く。
暫く歩いているとイイ匂いがしてきた。
「ぉお、このイイ匂いは」
うな重が見つめた先には、生地の焼きあがる香ばしい香りを出すクレープ屋さんがあった。
ジッパー団である。
「木苺ブラウニークリームだったか」
「ここのくれいぷも美味しかったのぉ」
あの時の味を思い出していると、クレープ屋さんにお客さんが来て店員に注文をし始める。
「期間限定の鰻の蒲焼き味、うなぎパイ乗せクレープを一つ」
その注文を気にする様子もなく店の前を進むうな重。
するとジッパー団の店長らしき人が、お客の青年に声を掛ける。
「我鰻さん、紹介して貰った鰻のお師匠」
「流石ですね、このクレープのアドバイスを貰ったら凄く美味しくなりましたよ」
「これはサービスです、是非食べて下さい」
そう言ってクレープを差し出しながら
「鰻の蒲焼き味、うなぎパイ乗せ、お待たせしました」
「いや、そんな悪いですよ」
「いえいえ、どうぞ」
とそんなやり取りをしている横をうな重が通り過ぎる。
そのうな重にふと気付き、チラッと見ながらボソりと口を開いた青年。
「あれは……」
「妹のみうなが飼っている鰻?」
「さぁ、どうぞ」
期間限定の、うなぎの蒲焼き味うなぎパイ乗せを受け取って再びうな重の方を見ると、既に去った後だった。
「まぁ、いいか」
青年はそう言って手に取ったクレープを一口パクり。
「ぉお、美味しい」
「でしょう」
「スイーツ系ではないが、おかずクレープとしてとても美味しい」
「鰻のふっくら感と、うなぎパイのサクサクとした食感、さらに生地に蒲焼きのタレが染みてうまく調和が取れている」
青年は嬉しそうに鰻を語った。
「まぁ、美味しいんですが、あまり売れてませんがね」
おかっぱ頭の店長は渋めの声で残念そうに語った。
そんな話をしていると、うな重は遥か先を歩いていた。
またまだうな重のお散歩は続く。




