うなさんぽ2
うな重がトコトコと居間から出る。
「ぃやぁ~、お勉強怖いのじゃ」
「さぁ~て、今日はどこをお散歩するかじぇ」
ガヤガヤと店舗の方から賑わいの音がする。
「あっちはお店でうなぎちゃんのパパ上と、ママ上がいるから、裏から出るのじゃ」
うな重は裏にある住居用の玄関へと向かった。
「てぃっ」
器用にドアを開けて外へ降り立つ。
「流石ワシ、もうこのドアは攻略済みじゃ」
外に出たうな重が警戒した様子で周りを伺う。
ビクッ
うな重が何かを見て身構えた。
「あの童 には前回酷い目にあわされたからの」
「要注意じゃ」
うな重の視線の先には、お隣の魚屋の近くで遊ぶ小学生ぐらいの子供が数人居る。
その子供がコソコソしているうな重を見つけて指を差す。
「ぉい、魚太郎!この間の鰻がまたいたぞ!」
もう一人の子供がうな重を見ながら叫ぶ。
「よし!どっちが先に捕まえるか勝負だ!」
隣に居た女の子があきれた感じて喋る。
「もぅ、二人ともやめなよ。うなぎさん可哀想だよ」
その声も聞かず二人の子供は、イタズラ顔でうな重に近づいてきた。
「前回のお散歩の時は、尻尾を捕まれて振り回されたが」
「今回はさせないじぇ!」
うな重が唸る。
「ムチン三倍だじぇ!」
うな重がみるみるヌルヌルになり
「秘技、尾汁玉 !」
うな重が尻尾にムチンを集めて、勢いよく尻尾を振り抜いた。
飛んでいったムチンは向かって来る子供の足元に当たり飛び散った。
「うわっ、なんだこれ」
二人の子供はヌルヌルに足を取られて尻餅をついた。
「今の内だじぇ」
子供が尻餅をついている隙にうな重はそそくさと走り去った。
「くそー」
遠くで子供の悔しそうな声がするが、うな重はもう遥か先にいっちゃった。
「流石ワシ、童も攻略だじぇ」
うな重はドヤ顔で足を進める。
「ハニーの話だと、たまに童とかには見えるとか言っていたのう」
再びうな重がキョロキョロと周りを見渡す。
「町民には見えていない感じだし、大騒ぎにはなっていないからやはり大丈夫なんだじぇ」
うな重は安心した様子でトコトコと歩く。
「あら、小さな鰻さん。こんにちは」
うな重が声をかけられてビクッとする。
上を見ると綺麗な黒髪で長髪の女性が覗き込むようにうな重を見ていた。
「今日は一人でお散歩かな」
「いってらっしゃい」
そう言ってうな重に軽く手を振って見送った。
「あれは……美味しい泥水のお店の魔女さん、だったかじぇ」
「童以外にも見える事とかがあるんだじぇ」
ちょっぴりドキッとしたうな重は、お散歩を続ける。




