マイハニー8
「だから、ハニーも良くお散歩するし、不思議ではないかな」
いや、何気にいまサラッと凄いことを言ったぞ。
「ぇ、ハニーは外を出歩いているの?」
「大丈夫なの?人に見られたりしたら騒ぎになるんじゃ」
私は文花ちゃんに、立て続けに質問をした。
文花ちゃんはさほど驚く様子もなく、再び指を口元に持っていき、少し考えた後に口を開いた。
「んー、わかりやすくパワースポットって言ったけど、ここら辺一体は神域なの」
「だから私達もハニー達も神域の影響を受けてる」
神社の子で巫女さんやってる文花ちゃんから、神っぽいキーワードが出てくると妙な説得力がある。
続けて文花ちゃんは
「普通の人にはハニーとかの姿を見られても、見えてるんだけと視えてないの」
どゆこと?と思ったら
「どゆこと?」と口に出ていた。
「見えてるんだけと、変な物とか、異常な物として認識していなくて風景とかと同じような認識になるの」
そう言われてうな重の方を見る。
先程の縄文クッキーを美味しそうに貪っている。
「うまい!うまいのじゃ!」
うん、明らかに異常な光景である。
「でも私やみうなには、うな重が見えて認識出来ているよ」
「しかもハニーだって動いて喋っているの見えてるし」
素直な疑問を文花ちゃんに投げ掛ける。
「強く念じていたり、思い入れのある物の変化には割りと気付く事が多いって言うから、それかもしれない」
確かに私がみうなの変化に気付かない訳がないし、みうなは鰻に並々ならぬ思い入れがあるので、文花ちゃんの説明には筋が通っている。
「学校とかで、うな重が大騒ぎにならないのはそんな理屈があったのか」
学校の自己紹介で、私一人だけやきもきしていたのはなんだったのか。
「へー、そうなんだ~」
その横でみうなが他人事のような返事をしているのは少々話が難し過ぎたからか。
「あれ、でも文花ちゃんもうな重が見えてるんだよね?」
「あんなカチューシャ鰻が街中歩いていたら大騒ぎになるんじゃ?」
そう文花ちゃんに問いかける。
「んー、私は巫女さんとかしてるし、ちょっと特殊だからかな」
「勘の鋭い人とか、純粋な子供とか、私みたいな特殊な人とかには気付く人が居るかもしれないけど、ハニーが普通にお散歩出来るぐらいには大丈夫だと思う」
流石巫女さんはこういうことには詳しいんだなと、私みたいな一般人は納得してしまった。
「ほほぅ、じゃあワシも街ブラ出来るんじゃな!」
縄文クッキーを食べ終えたうな重が叫ぶ。
「よかったね~うな重」
そのうな重の頭を撫でながらみうなが微笑む。
なんだか府に落ちた様で腑に落ちないし、頭を使い過ぎたので、糖分補給する為に縄文クッキーを手に取る。
難しい話ばかりで少々現実逃避したくなった私は、縄文クッキーを口にしてモゴモゴする。
「うん、美味しい」
するとみうなが叫ぶ
「そうか、私気づいちゃった」




