マイハニー5
文花ちゃんは縄文クッキーとやらを、私とみうなに渡してくれた。
「はい、どうぞ。縄文クッキー」
縄文クッキーと言っているのに、埴輪と古墳の形状なのは何でだろうと疑問に思いつつも、そのクッキーから香る香ばしい匂いにお腹が鳴りそうになる。
縄文と聞いて最初は警戒したが、クルミと栗と蜂蜜を使っていたり、このイイ匂いからは食べる前から美味しいと言ってしまいそうだ。
文花ちゃんのくれた縄文クッキーを手に持ち、みうなの方を見る。
みうなも同じ様にこちらを見てアイコンタクトをして二人とも
「「いただきます」」
声を合わせてそう言った。
サクッとした歯応えと、口の中でホロホロと程よく崩れて行く口触り。
栗の優しい甘味にクルミの食感がアクセントとなっている。
最後に蜂蜜の風味と後味を感じて口の中から溶けていった。
「素直に言ってこれは美味しい」
思わず声に出ていた。
横を見ると、みうなも
「美味しいね~このクッキー」
笑顔でクッキーを頬張るみうなは、また一段とカワイイ。
文花ちゃんは二人のその反応を見て
「よかった。喜んでもらえて」
嬉しそうに微笑んだ。
ちょっと照れ臭そうな所がまた可愛いですな。
そう思いつつ、二つ目のクッキーに手を伸ばした辺りで背筋に悪寒が走る。
デジャヴ?最近これと似たような事があったばかりの様な妙な感覚。
みうなの方を見ると微妙に頭が震えている。
これは……
視線をみうなより更に上に上げる。
みうなの頭の上が震えている。
そう、うな重だ!
赤いミートボール事件で見事なキリモミ回転を使いすっ飛んでいったうな重が縄文クッキーをガン見している。
マズイ、今は文花ちゃんが居るのでここでうな重が動き出したら、見られたとか言うレベルではない。
と、思った時には既にうな重がみうなの頭から外れて軽く飛び上がり、ストンとテーブルの上に降り立った。
今ならまだ、普通の鰻が動いただけとかで誤魔化せたかもしれなかったのだが、
「ずるいのじゃ!ワシもクっきーとやらが食べたいのじゃ!」
うな重は文花ちゃんが居る目の前で喋ってしまった。
これは完全に見られた、と文花ちゃんの方を見ようとした時、
「ぁ、ありがとうなのじゃ。これがクっきーなのか」
うな重が縄文クッキーを受け取った、らしい。
らしい、というのはもちろん私が渡した訳ではないし、みうなと文花ちゃんはうな重から少し離れたテーブルの向こうだし。
じゃあうな重にクッキーを渡したのは誰なの?
と考えを巡らせている私の手元を何かが通り過ぎた。
埴輪。
文花ちゃんの埴輪、ハニーが歩いてる?
うな重にクッキーを渡したのは、ハニー!?
「埴輪が、歩いている!?」
思わず声に出していた。
そのまま文花ちゃんの方を見ると、驚いているわけでもなくハニーに向かって
「ありがとう、ハニー」
ハニーの頭を撫でながら話しかけている。
「は、は、埴輪が歩いているいるよ」
しどろもどろになりながらも文花ちゃんに話しかけると、文花ちゃんは微笑みながら
「普通に歩くし、しかも喋るよ」
と、こちらに笑顔で語りかけると同時にハニーが片手を上げて返事した。
「ハニー」




