う弁当6
「だって、うな重が食べたのはミートボールじゃなくて梅干しだし」
みうなの横で私がボソッと言うと、
「なんじゃとぉぉおお!」
うな重が半泣きで叫んだ。
「うえぇぇえ、酸っぱいのじゃ~」
うな重が梅干しの酸っぱさを噛み締めていると、みうながすかさず
「ほら、うな重これ」
そう言って持っていたマイタレ、いやうな重の大好物の蒲焼きのタレを差し出した。
「ぉおぉお~」
蒲焼きのタレを見たうな重は、それにかぶりつく。
器用に蒲焼きのタレを飲んで一言。
「うまい!うまいのじゃ!」
ようやく出たうな重恒例の「うまいのじゃ!」
「うまい……本当にうまいのじゃ……」
甘く豊潤で香ばしい蒲焼きのタレは、先程の梅干しとの落差と相まって染み渡っているようだ。
しかし、うな重はそんなに梅干しが苦手だったのかと思ったが
「そうか、鰻と梅干しは食べ合わせが悪いのか」
……と、ふと思い出し声に出していた。
みうなと先程まで食べていたう弁当を見つめて気づく。
「そういえば、う弁当にう巻きと梅干しが入っていたけど、みうなは大丈夫なの?」
するとみうながこちらを向き、話し始めた。
「鰻と梅干しの食べ合わせが悪い事の科学的根拠は無いみたいだけどね~」
「そうなんだ」
私はみうなの話に頷く。
鰻の事に関しては、不思議とみうなが言うと説得力がある。
続けてみうなが
「梅干しのサッパリ感で鰻を食べ過ぎないように、食べ合わせが悪いって言ってた説もあるんだって」
「むしろ栄養的には理にかなった組み合わせだって話もあるくらいだしね」
さすがみうな、鰻の知識に関しては饒舌だ。
じゃあ、みうなのう弁当は理にかなっているのか。
と、ひと安心して胸を撫で下ろす。
そんな話をしているとうな重が
「ぷはぁ~」
ひとしきり蒲焼きのタレを味わった後、どうやら落ち着いた様子で
「ぁ~うまかったのじゃ」
そう言ってヒョイと飛び上がり、みうなの頭にすっぽりと収まるように戻った。
少々トラブルがあったものの、まぁこれで色々と収まったかなとお弁当の所に戻ろうとした所、不意に視線を感じる。
振り返りその視線の先に目をやると、そこには一人の女の子がこちらを見つめていた。
その女の子がこちらに向かって口を開く。
「大丈夫!?なんだかすごい叫び声がしたけど」
それと同時に頭をよぎる。
うな重の大暴れを見られた?




