う弁当5
「ずるいのじゃ!ワシもミートボール食べたいのじゃ!」
うな重が叫んだと同時にみうなの頭から飛び上がった。
そのまま器用に長い体をくねらせて回転する。
目指すはお弁当のミートボール。
体の回転力を利用してみうなの、う弁当に向かいスクリューの様に落下して行く。
う弁当に届いた瞬間に目的のミートボールを口で咥えてもう一回転。
上手に、また華麗に跳ね上がる、と同時にうな重が
恒例のうまいのじゃ!を発しようとしたのだが。
「うまいのじ……」
「ぶるぉぁああああぉああ!!!!」
そのまま回転して跳ね上がっていたうな重から、言葉にならない嗚咽の様な叫びが響き渡った。
ミートボールが美味しくなかったり、不味かった訳でもない。
うな重はミートボールを食べたのではない。
何故なら私の茶弁当にミートボールは二個しか入れてなくてみうなと私でもう食べてしまったのである。
うな重は赤いミートボール、ではなく
梅干し、を盛大に一口でパクりと行ってしまったのである。
流石の私でも梅干しを食べるときは酸っぱすぎるので少しづつ食べるのだが、
初めて?ましてやミートボールと思って丸ごと口に入れた時の酸っぱさ足るや想像などしたくない。
「ぶるぉぁああああぉあああ!!!!」
と叫びが嗚咽かわからない声を上げながら、目の前を飛んで横切って行ったうな重がペタりと地面に倒れ込んだ。
口からはヨダレなのかムチンなのかわからない何かが垂れている。
それを見たみうなは、自分のう弁当を横に置いてうな重へと駆け出す。
「大丈夫!?うな重」
駆け寄ったみうなの後を追うように、私も茶弁当を横に置いてみうなの側に行く。
「ぶるぉぅあ……ぅおうぁ……」
倒れ込んだうな重を見ると、ピクピクと若干痙攣しながら謎の言語を発している。
みうなが心配そうに見つめている横で私も、痙攣うなぎを見ていると、うな重がようやく口を開く。
「なんじゃ!あのミートボールは!」
「全然美味しくなくて、チョー酸っぱいではないか!」
口からはヨダレ、眼からは涙、体からはムチンと粘液オンパレードでうな重が絶叫した。
「だって、うな重が食べたのはミートボールじゃなくて梅干しだし」
みうなのよこで私がボソッと言うと、
「なんじゃとぉぉおお!」
うな重が半泣きで叫んだ。




