ジッパー団8
「ここはタピオカミルクティーかな」
私がそう言うと
「いいね〜」
みうなが頷いて答える。
女子高生の食べ歩きと言えばクレープ。
それと双璧をなすオシャレな飲み物と言えば、タピオカミルクティーである。
この商店街にも一斉を風靡したあのタピオカミルクティーがあるのだ。
その店に向かおうとした時、
「タピオカミルクティーはもう古いんじゃないかじぇ」
うな重がとんでもない事を口走った。
みうなクレープで噴火は収まったとはいえ、いまだみうなクリームの件は許していない。
それがまた煮え滾り始めそうだったが、また間一髪みうなの台詞がそれを思い止まらせた。
「喉が乾いたし、私もタピオカミルクティー飲んでみたいかな〜」
さすがみうな、現役女子高生は一味違う。
「じゃあうな重は、いわゆるイマドキのバナナスムージーかレモネードとかにでもするのかぃ」
私は少々冷めた目でうな重に問いかける。
「ぁ、え〜と、なばなばむーじ?」
タピオカミルクティーを古いと言っておきながらこのドモリ様、実はよくわかっていない感がすごい。
「うな重もタピオカミルクティーにしようよ〜いいお店があるんだよ」
みうなが上目遣いでうな重を諭す。
「ぁ、じゃあワシもタピミルにするのじゃ」
タピオカミルクティーの事をタピミルとか謎の略称にしている所に多少イラッとしたが、みうなが続けて話す。
「ヒロちゃん、あの例のカフェのトコロだよね」
みうながこちらを見つめて確認する。
みうなに見つめられると可愛すぎてドキッとしたがすぐに平穏を装い返事をした。
「そうそう、アソコ」
「では、行くとしますか〜」
私とみうなはタピオカミルクティーに向かって歩き出した。
今から向かうカフェはこの商店街では老舗で、かなり昔からお店を構えているらしい。
なのに流行りには結構敏感でオシャレなメニューを取り揃えているのだ。
味も申し分ないどころか正直かなり美味しい。
なのに行列の人気店とかでは無く程よく人気のあるお店である。
わかる人にはわかる通好みのカフェと言ったポジションなのか。
まぁ、行列の出来る人気店では無い理由もあるのだが。
「美味しかったね〜」
「さすが伝説のくれいぷなのじゃ」
なんて会話をしている内にお店が見えてくる。
同じ商店街の中なのでジッパー団からそれほど歩かないで到着した。
老舗喫茶店なのに喫茶店というよりは完全にカフェである。
店の人はイマドキをわかっているようだ
このお店の名前は「魔女の森」