ジッパー団7
「あ、ヒロちゃんも食べる?」
そう言ってみうなの食べかけであるイチゴチョコ生クリームを私に向かって差し出した。
「え、いいの?食べる。」
私は無意識に返答していた。
一瞬うな重の方を見る。
「ハムはむ」
完全に食べているクレープに夢中だ。
同じ轍は二度と踏まない。
私は秒で即答と同時に行動に移す。
「あ、じゃあ頂きま~す」
みうながかじった箇所と寸分の互いなく同じ場所をパクり。
「ふぉおぉぁぉぉあ」
これぞまさに特定保健用食品、心のトクホだ。
先程の暗黒面が嘘の様に晴れやかになってゆく。
「ぉお〜、そんなに美味しかったなんて」
みうながなにやら勘違い?している感じがするが、まあよしとしよう。
余りの美味しさに顔がトロケそうな所をグッと堪えて、手に持ったストロベリーショコラクリームを差し出す。
「みうなも私の食べる?」
「ぁ、うん。食べる〜」
そう言って私のクレープを食べる。
パクり。
「ほぉお〜、こっちのクレープも美味しいねぇ」
みうなも幸せそうな顔で頬張っている。
うん、カワイさ倍増だ。
そしてここからが本題。
惜しくも私の食べた箇所を掠めた位のかじり加減だが、さらに追加のみうなタイム。
みうなのかじった箇所を再び私がパクり。
「ふぉおぉぁぉぉあ」
まさに心のトクホ。
「うん、やはり美味しい」
私がみうなにそう言うと。
「美味しいね〜」
みうなも私に返してくる。
若干美味しいの意味が違う気もするが、幸せな事には間違いない。
「「「はむハム、ぱくパク」」」
二人と一匹?はクレープに夢中になる。
「「ごちそうさま」」
私とみうながクレープを食べきった頃にうな重がようやく口を開く。
「美味かったのじゃ〜」
尻尾をパタパタしながらいつもトロケている様な顔が、いつも以上にトロケている気がする。
うな重の幸せそうな顔に少々イラッとした。
今はみうなクレープで有耶無耶になってはいるが、まだ先程のホッペクリーム事件は許していない。
だがまだこの先の予定もあるので今回はこの辺にしておいてあげるとするか。
「みうな、喉乾いていない?」
私はみうなに聞いてみる。
「クレープ食べたし〜、ちょっと何か飲み物欲しいかな〜」
上を見ながら考えているみうなもまた、カワイイ。
「よし、じゃあアソコに行こう」
まぁ、飲み物を飲みに行くここまでが予定調和。
女子高生の飲み物といえば。
そう、タピオカミルクティーだ。