ジッパー団5
「さぁて、入団しに行きますか」
みうなやうな重とそんな会話をしている内にクレープ屋さんに到着した。
クレープのマークの真ん中にジッパーのロゴ、間違いない。
「さすがクレープ屋さん、いっぱい居るね〜」
みうながジッパー団を見ながら目を丸くする。
オープンして数ヶ月たっているとはいえクレープ屋さん、結構な人気である。
店頭にはすでに何人か並んでいる様だ。
私達は最後尾に並ぶ。
店頭に掲げられているメニューを見ると沢山の
クレープが並んでいる。
予習はしてきているとはいえ結構なメニュー量だ。
まずはメニューで悩む。
チョコバナナとかアイスとか、おかず系など色々ある。
「いっぱいあって悩んじゃうな〜」
みうなも悩んでいるようだ。
「ぁ、期間限定のおすすめもあるよ」
みうながメニューを指差しながら語りかける。
「ほほぅ、どれどれ」
一応予習はしたが店舗限定のメニューもあるので店頭チェックは大事である。
……。
……!?
「ぉお、美味しそうかも」
みうながそう言うが、慌ててツッコむ。
「うなぎの蒲焼味、うなぎパイ乗せ!?」
まさかのクレープにうなぎの蒲焼を巻いて、うなぎパイを刺してあるおかず系クレープだ。
「ちょっと挑戦的過ぎて初心者にはまだ早いかな(汗)」
みうなにそう言うと
「そうだね、さっきうなぎパイ食べたしね〜」
どうやら思い止まった様で胸を撫で下ろす。
「やはりここはスタンダードに行くか」
ひとしきり悩んだあと順番が来た。
ちょっとオカッパ系の髪をした店員さんが渋めの声で話す。
「いらっしゃいませ」
私は意を決して口を開く。
「ストロベリーショコラクリーム下さい」
みうなも続けて注文する。
「イチゴチョコ生クリームと木苺ブラウニークリームください」
「2個も食べきれるの?」
私がみうなに問いかけると
「ぁ、うな重の分もね」
みうながうな重を見ながら上目遣いで話す。
うん、カワイイ。
店員さんがクレープ用トンボをクルクル回して
上手にクレープ生地を焼いて行く。
片面が焼き上がった生地をスパチュラを使いひっくり返してもう片面も焼き上げる。
生地が出来上がるとスパチュラで台に移し、生クリーム、苺、チョコレートソース、と順番にかけてゆく。
そしてクルリっと上手に巻き上げた後、ジッパーロゴの入った包装紙で再びクルリっと巻き上げる。
こういうオープンキッチンスタイルは永遠に見ていられる。
「はい、お待ちどうさま」