ジッパー団3
「ジッパー団に行くよ!」
私が叫ぶと、丁度うなぎパイを食べ終わったうな重が聞き返してきた。
「ジッパー団?何かの秘密組織なのか?じゃ」
「秘密組織とも言えなくも無い」
うな重の台詞に返すように、私が腕組みをして頷く。
すると、みうながうな重の質問に答える。
「ぁあ、あの新しく出来たクレープ屋さんかな」
そうジッパー団、あの有名なクレープ屋さんがこの商店街に新しく出来たのだ。
女子高生の買い食いといえばクレープしか勝たん。
「やはり下校中の食べ歩きといえばクレープ!!」
自然と心の声が口から出て、謎のガッツポーズをしていると
「おぉ〜、女子高生みたい」
みうなが私を見て感心している。
「なんじゃと!あの伝説の『くれいぷ』じゃと!」
テーブルの上のうな重が驚愕の?(なのかよくわからない)表情で叫ぶ。
「あれ、うな重はクレープを知っているの?」
みうながうな重に聞き返した。
「知っておるぞ!オサレな巻き菓子じゃろ」
「お天気オネーサンが街ブラで食べておったぞ!」
うな重がヨダレなのかムチンなのかよくわからないものを出しながら興奮気味に喋る。
オサレな巻き菓子とか街ブラとかどこで得た知識なのかよくわからないが
「うな重にもクレープの偉大さが解ったみたいだね」
腕組みした私がドヤ顔で返す。
「ぉお、あの『くれいぷ』にお目にかかれるなどなんという僥倖じゃ」
うな重はよくわからない事を言いながらクレープの事で上の空の様だ。
「というわけで、ジッパー団クレープ屋さんに入団し食べにに行くよ」
私は鞄を手に取りテーブルから立ち上がる。
それを見てうな重が
「ぁわわ、待つのじゃ!ワシもいくぞ!」
慌ててテーブルから飛び上がり、みうなの頭に飛び乗ったパイルダーオン。
テーブルの上のカチューシャうなぎが、自動でみうなの頭に戻るシーンはシュールだと思いつつも今はクレープが最優先。
そうして私達は公園から商店街に向けて歩き出した。