ジッパー団2
キーン コーン
カーン コーーン
被っているのが猫なのか鰻なのか、などと考えていたらいつの間にか下校時刻になってしまっている。
最近カチューシャ鰻のせいで有耶無耶になっていたが、やりたいことがあるのだ。
女子高生になったからにはぜひ、下校中の[[rb:食べ歩き > 買い食い]]がしたいのである。
「みうな、一緒に帰るよ」
私がいつものように、みうなにそう言うと、
「うん、ヒロちゃん」
屈託のない笑顔で返してくる。
帰り道で買い食いをして帰るには、やはりお腹が空いていないと。
そう思って今日のお昼は抜いておいたのだ。
そのせい?そのおかげかもはや、お腹と背中がくっついちゃうぐらいにはペコペコである。
お昼はトイレに隠れて過ごしていたら、みうなに多少怪しまれていた気はするがまあ、問題は無いはず。
下駄箱で靴を履き替えて、校門を出た辺りで
ぐぅ~
ちょうどいい?タイミングなのか私のお腹が鳴く。
私がここぞとばかりに何か食べて帰ろうかと言いかけたその時、
「ヒロちゃんお腹空いてるの?ならこれ食べて〜」
みうながそう言いながら差し出したモノ
それは
「うなぎパイ!」
思わず声に出していた。
買い食いをしたいが、みうなから貰うものは尊いので断りたくない。
もちろん食べる。ので差し出されたうなぎパイを受け取った。
「あ、ありがとう」
「ぉ、ナニか美味しそうな物じゃの」
うな重が目ざとくうなぎパイを嗅ぎつけてくる。
すかさずみうなが
「うな重の分もあるよ〜」
そう言ってうなぎパイをもう一つ差し出す。
いつもの最寄りの公園内にある古墳休憩スペースに向かい、いつもの様にテーブルにつく。
「うまい、うまいのじゃ」
うな重がみうなから飛び降りて、お決まりの台詞を放ちながらうなぎパイを食べる。
鰻がうなぎパイを食べている絵面はなんともシュールだが、確かに美味しい。
「確かに美味しい」
またもや声に出てしまったぐらいである。
「うなぎパイ、おいしぃね〜」
みうなもどこからか自分の分のうなぎパイを食べながら幸せそうな顔をしている。
……。
違う!うなぎパイは美味しいが、そうじゃない。
私は席から立ち上がり叫ぶ。
「みうな!」
みうなが少し驚いた様にこちらを向く。
そのみうなに向けて一言。
「ジッパー団に行くよ!」
ジッパー団、あの有名なクレープ屋さんがこの商店街に新しく出来たのだ。