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うなぎちゃんのカチューシャ  作者: チームつちのこ
うなぎちゃんのカチューシャ
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ジッパー団1

「暑い……」

桜も散って葉桜になった。

まだ4月も半ばというのに日差しが強い。



あの日から主に見た目が変わってしまったみうなは、相も変わらずテンションが高い。


あれからみうなは、うな重を頭に乗せたまま学校に通っている。


「今日も絶好の干物日和だよ!」

そう言うみうなはまるでトクホ(特定保健用食品)の様だ。


「絶好の干物日和でうな重も干物になっちゃうね」

「ってか鰻が水から出て大丈夫なの?エラ呼吸じゃないの?」

最近鰻が頭に居ても違和感が無くなって来ているので、素朴な質問をしてみる。


「鰻はね〜ムチン?ヌルヌルのお陰で水から出てもわりと大丈夫なんだよ」

みうなが謎のドヤ顔で説明をし始めた。


「そうじゃ!聖なる粘液、せぃ…」


「あ、いいからそのくだりは」

うな重の台詞に被せる様にツッコむ。


「なんじゃと〜!ワシのムチンは並の鰻とは違うんじゃぞ!」

うな重が半ばキレ気味に尻尾をパタパタと振っている。


「へぇ~、そうなの?」

ぁあ、みうなが喰い付いて話が広がってしまった。


「ワシのムチンは通常の鰻の3倍出せるのじゃ!ドヤァ」

うな重が勝ち誇った顔で説明する。


「ぉお〜!すごぉい」

みうなが感心しているが、正直どうでもいい知識な気がする。


そんな話をしていると学校の校門に着いてしまった。


近い高校を選んだお陰で、商店街やら公園やらを通って他愛もない会話をしていたら着くほどの距離である。


1年5組の教室に入ると

「うなぎちゃん、おはよう」


「おはよう、うなぎちゃん」

クラスメイトから声をかけられて

「ぉはょお〜」

元気なようで気の抜けるようなカワイイ返事を返す。


みうなは頭に鰻を乗せているにも関わらず、そのトクホな性格からかクラスではわりと人気者である。


なぜかうな重も、学校では猫を被った様に大人しくて喋らない。

というか鰻を被っているのか。

いや鰻を被っているのは、みうななのか。

猫を被った鰻を被っているみうなが………。

などと頭がぐるぐるしていると。

「どうしたの〜ヒロちゃん。なんだか難しい顔しているよ〜」

そう言いながら、みうながこちらを覗き込んで来た。


「ぁあ、なんでもないよ。ちょっと考え事してただけ」


といっても、しょうもない事を考えていただけなのだから。


そんな会話をしていると、教室に先生が入って来たのでみんながバタバタと席に戻っていく。

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